2010-01-01から1年間の記事一覧

ヨスガノソラ 第12話「ハルカナソラヘ」

穹編のラストは前三編と異なり、異端の道を選んだがゆえの後味の悪さを湛えている。前三編と比較して「これでよかったのか――」と問いかけてくると同時に、唯一、前三編の間「ハズレ」を引き続けてきた穹の孤独だけが、救われる形になっている。 奈緒編での、…

話数単位で選ぶ、2010年TVアニメ10選

ちょっと早いけど、さらに忙しくなる前に、個人的に今年を振り返る機会を作ろうと思いまして。 ・とある科学の超電磁砲 第14話「特別講習」(脚本:浅川美也/絵コンテ:矢島サコ美/演出:川畑喬) ・戦う司書 第19話「阿呆と虚空と踊る人形」(脚本:岡田…

ヨスガノソラ 第11話「ソラメクフタリ」

奈緒と悠のデート、家に一人で居残る穹のクロスカッティングが非常に良い。穹の自慰を反芻して顔を曇らせる悠の、その行動の暴力性が浮き彫りになり、さらに現在時制の穹の行動がクロスされている。前回、悠が奈緒と手を繋がないという話をしたが、11話では…

ヨスガノソラ 第10話 「トリノソラネハ」

長かった…。ようやく、悠の内面が描かれる段になったか。すごく面白いよ。 ヒロインの抱えている問題や、ヒロインとの過去を基点としていた前三篇と異なり、穹編は悠の視点・悠の願望が基点となる。悠の見る夢は回想に留まらず、夢の中の穹は大きくなって距…

ヨスガノソラ 第9話「ハルカナオモイ」

うーん、瑛編がものすごく良かったのに比べると、正直なところ、奈緒編はそれ単独ではちょっと落ちるか。 1話→7話→8話→9話と見ていったときに、あの第1話のキスが、穹は悠のことを「家族として」必要としていた、という風にすり替えられてしまうと思うと、さ…

ヨスガノソラ 第8話「ナオクラキソラ」

これまで無言の抵抗を示し続けていた穹が、ついにキレた。 奈緒がトボトボと家を出ていき、穹が台所に走って行って、「さぁ、悠はどっちを選ぶ?」と突きつけられる。そうそう、こういうのが観たかったのよ。カレーを捨てて鍋を投げつけるのも、これまでを見…

ヨスガノソラ 第7話 「ツミナオトメラ」

位置づけ的には第2話に当たるのだろうけど、第2話よりも展開が早い。もうキスしちゃったし。 第2話の時に、穹・一葉・瑛の「駆け寄り」に性格が現れていて面白い、という話をしたが、今回はそれと対比される形で奈緒の「走り」が登場していたのが面白かった…

橘秀樹監督の次回作も発表されたことだしちょっとそろそろ精霊会議に決着をつけたい―「H2O FOOTPRINTS IN THE SAND」

『ヨスガノソラ』の雰囲気があまりにも『H2O』っぽくて、ヨスガを見ているうちに急激にH2Oが見たくなってしまい、つい全話見返してしまった。号泣した。ものすごく良いアニメなのに、みんな精霊会議というだけで嘲笑するのはあんまりじゃないか、みんなエヴ…

ヨスガノソラ 第6話「アキラメナイヨ」

AT-Xと契約しました。瑛ルート、ものすごく良かった……。 何が良かったかと聞かれると、まず真っ先に、阪田佳代さん、と答えざるを得ない。表情の芝居に相まって、表情以上に「声色」が物語る。「だって、あんなに大切にしていたペンダントだって無くなっちゃ…

ヨスガノソラ 第5話 「ヤミアキラカニ」

4話で見せた、ゾッとするような瑛の「能面」、その内側に迫っていく回だったと言える。瑛の「笑顔の仮面」が崩れる箇所が大きく4つあって、教室で「昔のことを思い出した」と告げた悠に対して頬を染める表情、二人でペンダントを探しに行った先で「だいすき…

ヨスガノソラ 第4話「ハルカズハート」

そうきたか…っていう感じ。「ハルカズハート」というサブタイは、虚飾に見せかけて微妙に本質を付いているとも言える。とにかく、(少なくとも渚一葉編での)演出のスタンスは、次の会話のシーンを見れば、もう明らか。 瑛「かずちゃんのこと、嫌いになっち…

ヨスガノソラ 第3話「ツカズハナレズ」

一葉との関係が急激に変化する回。2人の関係の転換点が3つあって、浜辺でラムネの回し飲みをするシーン、悠が一葉を強引にデートに連れて行くシーン、キスシーンの直前、の3つ。 1つ目のラムネの回し飲みは、ビーチパラソルの茎を手前に映して(このパラソル…

ヨスガノソラ 第2話「アキラハズカシ」

『ヨスガノソラ』の2話が相変わらず面白かった。 前回の引きの「イかせて…」というのが「学校に行きたい」だったのには(どうせそうだろうなと思っていたものの)少し苦笑い。けど、その動機、独りで家にいるのが寂しくて退屈だった、というのが上手く出て…

ヨスガノソラ 第1話 「ハルカナキオク」

『ヨスガノソラ』の一話がとんでもなく面白かった。兄と妹の恋愛、というのを真っ向から描いていて、果てしなくエロい。しかも、穹の脚の艶めかしさが「歩くこと」という主題と不可分に結びついているのが凄い。 診察室で穹が自慰をするシーン、足の指の艶か…

「ストライクウィッチーズ2」第10話について

佐伯さんが直球なのに対して、浦畑達彦さんは9話・10話と変化球を投げてきている印象。 第10話では公式同人誌のほうで主役を張っているハンナ・マルセイユがゲストキャラとして登場し、やりたい放題に振舞う。バルクホルンを馬鹿にし、バルクホルンを餌にエ…

「ストライクウィッチーズ2」第6話が素晴らしい

ストライクウィッチーズ2、待ちに待ったサーニャ&エイラ回。 佐伯さんは第1期6話や第2期の4話のように、アバンを単なる本編への導入として費やすのではなく、その回の主役や、鍵になる困難・問題などが分かりやすく配置されたアバンを作ることが多い気がす…

「借りぐらしのアリエッティ」について

借りぐらしのアリエッティ。「借りぐらし」とあるのは、人間にものを借りて生活する、という意なのだが、大変な危険を犯して人間の家に「借り」にゆく姿にはやはり「狩り」という意味も掛かっているのだろうな、などと思っていたら、後半になって本当に狩猟…

「戦う司書」 第11話・モッカニア編について

7/4にTwitterでpostした内容に加筆したものです。 「戦う司書」が「本」という素材を用いて最初に扱ったテーマは、本来対象に対して一方行的であるはずの「本」が普遍的なモチーフを通じて双方向的になりうる、というものであり、「本」を通じて時空を超えた…

閃光のナイトレイド 第8話までの経緯のまとめ

新番の話を書こう書こうと思っているうちに四半期の2/3が過ぎ、もはや新番と呼ぶのも躊躇われる時期になってしまいましたが、このあたりで新番の話をしようと思います。今期私が特に面白いと思っているのは、『閃光のナイトレイド』です。DTB等で有名な大西…

今さらながら「ストライクウィッチーズ」6話のおはなし

ここ数日、時間がとれたのでずっと「ストライクウィッチーズ」を見ていました。第6話が凄く面白いということに気づいたのでメモ。佐伯昭志さんは2話でも9話でも良いものを見せてもらったけど、6話は特にヤバイ。 スト魔女の6話は、主に3度の「夜間飛行」や遮…

「マイマイ新子と千年の魔法」について その2

先日三度目になる「マイマイ新子と千年の魔法」の鑑賞に赴いたので、また再び簡単なレビューを。 五ヶ月前のエントリで以下のような話をした。(一部改変してある) マイマイ新子では、時代を経ても変わらない普遍的なものを抽出しようとしている。松の木に…

戦う司書-The Book of Bantorra- について

先週最終回を迎えた「戦う司書」についての所感。今回は、二転三転する作品の中で、全体を貫く2つの主題、「本」と「記憶」の対比構造と、ヴォルケンの倫理観を取り上げる。 「本」と「記憶」 「戦う司書」という作品の根幹に「人は死ぬと本になる」という世…

十文字青 「絶望同盟」 ― 承認を求める少年少女の同盟

絶望同盟 (一迅社文庫)作者: 十文字青,ま@や出版社/メーカー: 一迅社発売日: 2010/02/20メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 222回この商品を含むブログ (41件) を見る「承認されないもの」に承認を求める高校生が互いを承認しあう場、それが「絶望同盟」。…

「涼宮ハルヒの消失」についての雑記

「涼宮ハルヒの消失」を見てきました。Twitterなどで良い評判を聞いていたので期待を持って見に行ったのですが、なるほど噂に違わぬ出来。おそらく散々と指摘されるような事柄でしょうが、簡単に感想を書きたいと思います。 まずは「エンドレスエイト」がど…

戦う司書 -The Book of Bantorra- 第15話 「少女と少女と神の寝床」

折に触れて「戦う司書」の感想はTwitterの方にpostしていますが、たまには「戦う司書」の宣伝も兼ねてブログの方に書きます。 第15話は篠原俊哉監督のコンテ回で、楽園管理者とアルメが対峙した時の電線、本の中でのパーニィと割れたコップ、ミレポックとア…

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 第1話 「響ク音・払暁ノ街」

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト=「空の音」という主題 「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」とわざわざカタカナで、しかも中点を打ってあることにはおそらくそれなりの意味があるはずだが、まあ第1話であるから、素直に画面に提示されている「空の音」という主題を見てみることにし…

放送開始前の時点での、「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」に関するメモ書き

「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」の放送開始まであと2日となった。「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」が1年前に「宇宙をかける少女」をやっていた枠を復活させて放送されることになにやら勝手に縁を感じて、フリーペーパーの「メーカー横断アニメガイド」と、「電撃大王」の神戸…

新年の挨拶

皆様、あけましておめでとうございます。このブログも1周年を迎えました。読んでいただいている皆様、昨年は大変お世話になりました。本年も宜しくお願い申し上げます。 今年は、文章の構成やレイアウトなども工夫しつつ、なるべく読みやすい文章を書きたい…