今さらながら「ストライクウィッチーズ」6話のおはなし


ここ数日、時間がとれたのでずっと「ストライクウィッチーズ」を見ていました。第6話が凄く面白いということに気づいたのでメモ。佐伯昭志さんは2話でも9話でも良いものを見せてもらったけど、6話は特にヤバイ。



スト魔女の6話は、主に3度の「夜間飛行」や遮光した部屋の中などの「夜の部」と、隊員たち全員が登場してブルーベリー、ハーブティー、肝油を食べるコメディーパートの「昼の部」で構成されている。(昼、とはいっても時間帯的には夕方だったり明け方だったりするのだが)

サーニャ回」であるところの第6話で描き出されているのは、サーニャの白黒の衣服が暗示している、「黒い服(=表層、覆い隠すもの)」とそこに隠れている「美しいもの(=本質)」である。「夜の部」において、夜間飛行中の夜空と白い雲、暗い部屋と暗幕から漏れる光、白黒の猫の置物、などがサーニャの服装に同調し挿話全体の色彩の基調となっている。その間に配色の異なる賑やかな「昼の部」が断続的に挟まることによって、「昼/夜」の構造自体もまたサーニャの内面を暴き出す役割を果たしている。また、誕生日の同じ芳佳とサーニャを安直に「昼」と「夜」に繋げても良いかもしれない。


「黒い服」に覆い隠されている「美しいもの」という言い方をしたのは、水浴びのシーケンスにおける芳佳のセリフを引いているのであって、意図しているのは当然ながらサーニャの裸だ。そうなのだが、三夜目の夜間飛行のシーケンスにおいて、賑やかな昼と様相の異なる静かな夜空で、遠い国のラジオの音を拾うシーンも、サーニャの内面を知るための鍵になっている。これらの結節点として、サーニャのソックスが破れて白い足が顕になり、満月の下で父のピアノを恍惚と聞いているショットは美しくて、あまりに象徴的だ。


このように夜の部においてはモノトーンな色彩を基調にした丁寧な画面作りをしている。一方でそのテーマを内破し、夜の部に「華」となる色彩を持ち込んでいるのが、「夕焼け」の水浴びシーケンスだ。このシーケンスは、いわば「夜の部」における「昼」であって、黒い服と暗闇が覆い隠しているサーニャの肌を、この時間では全裸にして見せるのが、やはり収まりが良い。また、サーニャの感情の発露とも取れる三夜目のネウロイとの戦闘シーケンスに対応する符号でもあるだろう。



余談

サーニャの歌、雨の音、ピアノの音などの音響的な繋がりも見所の一つ。
あと、エイラ(CV:仲井絵里香)の声質が物語を駆動するのに効果的に働いている。元気っ子なのだけれど、ルッキーニのような賑やかさとは質の異なるタイプ。


二期ではもうちょっとサーニャを見たいですね。