「ストライクウィッチーズ2」第6話が素晴らしい

ストライクウィッチーズ2、待ちに待ったサーニャ&エイラ回。
佐伯さんは第1期6話や第2期の4話のように、アバンを単なる本編への導入として費やすのではなく、その回の主役や、鍵になる困難・問題などが分かりやすく配置されたアバンを作ることが多い気がする。
この回は第1期の6話と同様にサーニャとエイラの関係を描きつつも、サーニャを主体に描くかエイラを主体に描くか、という違いがあることが、まずアバンで示されている。夜のサーニャと昼のエイラ。サーニャの歌に比して、エイラの調子外れの歌。(さらにエイラの未来予知の魔法が何らかの形で関わってくる、ということもアバンから分かる)。
第1期の6話は芳佳の視点(≒視聴者の視点)からサーニャの内面に迫っていく回だった。今回の挿話では、主にエイラの視点から、エイラとサーニャの関係が描かれる。


今回様々な点で第1期6話と「似通っている」と感じる場面が多かった。というか、佐伯さんは意図的にあの回と同じ符号を用いてきた。サウナ、ジンジャーティー、会議中にエイラの挙げる手、等々。ところが会議でエイラの挙げた手は却下され、広々とした(人気のない)サウナはコソコソと密会をする場と化し、Bパートのジンジャーティーのシーンはエイラの感じている不快感が後を引く。第1期6話と同じ小道具を用いていても、それらがすべて、エイラとサーニャに亀裂を生じさせる方向に働く。


サーニャの部屋にある白黒の猫の置物も第1期の6話でも登場している。第1期6話では、一連の白黒のコントラストの文脈に位置づけられていたが(詳しくは関連エントリを参照)、今回の挿話ではもっと単純に、この「つがい」の置物はサーニャとエイラの2人だと見るのが良いかもしれない。その隣に、芳佳が5話で買ってきた大きな黒猫の置物がデンと構えている、という構図が象徴的だ。
このシーケンスにあって特徴的なのは、サーニャの白黒の服装を意識させるように作られていた第1期6話と異なり、3つ目の色・「赤色」が何度も画面に入り込んでくること。サーニャのネクタイや背中にあるワンポイントの「赤色の」星を意識してフレームの中に入れているように感じられ、決定的なのは赤色のマフラー。
第二期ではあまり明示的に描かれていなくても、第一期を経験したウィッチたちは確実に成長があって、その変化が少しずつ現れている、ものだと思っている。芳佳をはじめ隊員たちからの影響を受けてサーニャにもたらされた変化、それを象徴しているのがこの赤色なのだろう。エイラとサーニャだけの「閉じた関係」が破られて、二人の間に入り込んできた赤色。そのこともある面で、二人の間に亀裂が生じた原因の一旦なのかもしれない。(このあたりは推測だけど)


二人の喧嘩のシーケンスの後の「半月」も、第1期6話の満月を受けてのもの。欠けている半分はもちろんエイラなのだけれど、半分の月の中にエーリカのシルエットが収まっている構図が面白い。このシーケンスはサーニャの視点からこの作戦への思いが描かれる数少ない場面で、エーリカとの会話を通じて、サーニャ自身がどうしたいか、ということをサーニャは考える。この場面があるから、「命令違反」をしてサーニャのもとに来たエイラを、サーニャは躊躇いもなく受け入れる。


Bパート、冒頭のシーケンスでは、高くそびえ立つネウロイに対して、二隻の船と無数の戦闘機が向かってゆくも、ネウロイに撃沈される。会議のシーンの中では、バルクホルンの「生きて帰れる保証はないぞ」というセリフがさらに不安感を煽る。これらの作戦の困難さ・命の危険を意識させる描写が、土壇場でのエイラの決断の動機づけになっている。本当に危険な任務なのに、サーニャの命を他の人に預けてどうする、と。そんな感情に突き動かされたエイラの行動。芳佳もそれを分かって、自分のポジションをあっさりとエイラに譲る。


上空での二人の会話の中で、サーニャの「私たちには、帰るべき場所があるもの」というセリフがある。サーニャが周りの隊員たちから受けた影響が言わせる言葉だろう。それが原因で一旦は二人の間に亀裂が生じるも、作戦が全てうまく行った後、赤色の猫に針葉樹の枝が置かれているショットで締められている。赤く染まった猫はいかにも「いまのサーニャ」を象徴しているよう。エイラの中でサーニャの変化が肯定的に受け入れられたことを示唆しているのだろう。




今期は色々と面白いアニメが多いけれど、『ストライクウィッチーズ2』が特に面白いと思っています。4話と5話も大変良かったけど、6話は物凄く面白い。佐伯さんにもう一回か二回くらい担当してもらえると嬉しいな。


<関連エントリ>
今更ながら「ストライクウィッチーズ」第6話のおはなし