ヨスガノソラ 第7話 「ツミナオトメラ」


位置づけ的には第2話に当たるのだろうけど、第2話よりも展開が早い。もうキスしちゃったし。


第2話の時に、穹・一葉・瑛の「駆け寄り」に性格が現れていて面白い、という話をしたが、今回はそれと対比される形で奈緒の「走り」が登場していたのが面白かった。ケンカする両親から逃げるように家を飛び出し、辿り着いた先で悠を犯してしまい、春日野家からも逃げ出す。奈緒の「走り」には「逃避」という意味合いがこもっていた。その上で、Bパート、プールサイドで悠に手を引かれて走る奈緒の姿がある(回想と同様に俯瞰が使われている)。
奈緒の「走り」に対して、穹が携帯を見て立ち尽くしている姿は第1話の反復だ。奈緒に吸い寄せられていく悠を見て呆然と立ち尽くしてい第1話から発展して、「嫌悪」「抵抗」といった感情を(我々に対して)見せるようになっている。


奈緒が悠の前から逃げ出した過去は、このように、悠によって肯定しなおされる。第7話では奈緒の過去に抱えた後悔を、悠が肯定する・あるいは、「上書きする」という主題がある。
いま「上書きする」と言ったのは、「過去の出来事に別の視点から解釈を与える」といった意味合いなのだが、その関連でちょっと面白いシーンがあった。プールの更衣室、過去のあの出来事の話題になった際に、当時の心境を悠が開陳する。「嫌じゃなかったよ」と。このセリフが、第1話で出てきた回想の口パクに被るのだ。ちょっと、重箱の隅をつつくようなことかもしれないが、直後に穹のセリフ無しの口パクを見てしまうと、さすがに気になる。
当時あの場面で悠はどのようなことを言ったのか、逆レイプされて悠はどのような心境だったのか、実際のところは分からない。しかし時間が経ち、当時を振り返ってみるに、「嫌じゃなかった」と「思い直す」。第7話は単なる回想によって2人の過去が明らかになるのとは異なり、言葉で過去を上書きしたうえで肯定され、二人が結びついている。
対して穹の無言の口パクは第2話の反復であった。こちらは容易にその口の語る内容を埋め合わせることができる。穹は口に出して、「奈緒うざい」とは言わない。無言の抵抗。第6話まで、いつだって穹はそのような態度を示していた。


個人的には、穹が悠の前で怪我をした指を隠すところが好き。
あと気になっているのが、水没していく奈緒の姿。お風呂で文字通り物思いに沈む姿(第1話でもあった)や、プールで潜水している姿など、OPで水中に沈んでいる奈緒の姿を反復する描写が多かった。あのダンボールに隠れたのだって水没の変奏と見れるかも。水に関して、何かありそうに見えるけど…