宇宙をかける少女 第11話 「鏡信者たち」


前回ハコちゃんがアレイダに連れ去られましたが、監視カメラにはアレイダを回収した巨大なハサミを持つ物体が映っていたわけです。前回ほとんど取り上げられなかったので忘れてしまいそうですが、それは第8話のラストでブーゲンビリアたちいるプラントを攻撃してきた巨大なハサミです。そのハサミの持ち主は今回登場する新キャラクターの「ベンケイ」。ベンケイは今回アレイダ達を回収するためにやってきましたが、様々なプラントで「鏡」を切り取って持ち去っていく、ということを繰り返しているとのこと。風音さんはベンケイの件について元老人の3人と協議して対応するとします。秋葉さんはハコちゃんを奪還するために何かできることはないかと言いますが風音さんと高嶺さんに学校に行くように言われます。
秋葉さんとほのかさんが学校に向かうところで、お風呂から上がってきたナミさんとすれちがいます。「人を危険な目に遭わせておいて、何の言葉もないわけ?」と問い詰めますが、秋葉さんは完全に無視して学校に行きます。ナミさんがこのような言葉を投げたのも、自分だけ何も知らされていないことへの腹いせでしょう。ナミさんはとても刺々しい表情で舌打ちをしています。
いつきさんはあの事件の後ICPのほうに戻ってきたようで、ニーナと怪奇課の部屋でハコちゃんの件の話をしています。ここのニーナの顎パクはなんかおかしいぞ。いつきさんはハコちゃんをアレイダに奪われたことを悔やんでいますが、ニーナに励まされて、変装して学校に向かおうとします。いつきさんが着替えるためにトイレに向かうと、トイレにあるはずの鏡がすべてなくなっていることに気がつきます。外に出てみるとどうやらどのフロアの鏡もなくなってしまっているようで、さらにはリリーの私物の手鏡も盗難されています。これもベンケイの仕業…ではなくて、「ICPなんてクソくらえよ!」といいながらICPの宇宙船を奪って飛んで行ったブーゲンビリアとミンタオの仕業。これはミラー泥棒を捕まえるために彼女たちなりに考えて行動したものでしたが、ついにこいつらも壊れたか…と最初は笑いました。リリーの手鏡を盗んだのは多少私怨もあったりして。


学校に向かったはずの秋葉さんとほのかさんでしたが、秋葉さんはハコちゃんを奪還するのに自分だけ何もしないで見てるだけというのが我慢できず、レオパルドに相談に行くことにします。イモちゃんは風音さんの変装をしてエミリオさんに欠席の連絡を入れます。これはちょっと予想していなかったので笑った。モノマネも全然似てないうえに、声だけでなく顔まで映るんじゃどうしようもないでしょう(笑)。「獅子堂総帥って、つぶれあんぱんみたいだな」と真宮寺さんに言われてしまいます。真宮寺さんは相変わらずエミリオさんに相手にしてもらえず、生徒会メンバーを集めて会議を開こうとしますが、そこにつつじさんが欠けていることに誰も気づきません。前回つつじさんが何もしゃべらなかったのは、存在感の無さを印象付けるためだったのですね。
前回でネルヴァルとつながりがあることが判明したつつじさんですが、ネルヴァルたちに協力するようになった理由は生徒会での自分の扱いに耐えられなかったから、と。なんか理由として弱いと思うんですけど、要するにナミさんと同じようなポジションのキャラを一人用意したんですね。生徒会で一人だけ理不尽な扱いを受けていた(らしい)つつじさんと、獅子堂家で一人だけはぶられているナミさん。おおよそこういうポジションの人間がネルヴァル側では「宇宙をかける少女」として適任なようです。アレイダのブレインコロニーの説明は右の耳から入って左の耳から抜けていきそうな口調ですけど、この作品内ではじめて「宇宙をかける少女」という存在について説明をした部分です。ブレインコロニーとは歴史上最も新しい知性体で、その若さゆえ、みな傷つきやすく悩み深い。ゆえに彼らには、自己投影できるようなパートナーが必要。それが今まで「宇宙をかける少女」と呼んできた人たちで、つつじさんにもベンケイのパートナーをやってほしい、ということです。とりあえずつつじさんはベンケイが進めている、鏡を集めて何かをしようとしている計画に協力することになり、その最初の仕事としてレオパルドに向かっていたずらのメールを書きます。


風音さんたちは秋葉さんが学校をエスケープしたとの報告を受けて、自分たちも元老院の3人とともに動き出すために出立します。秋葉さんの件は呆れながらも、まあそれでもいいかと思っているようです。出立しようとしていた風音さんのところに、ナミさんが今まで自分に隠してきたことへの説明を求めてきます。ところが風音さんは開き直って、あなたに説明する必要はない、あなたにはどうせ何もできない、と冷酷な言葉を投げます。秋葉さんは決して逃げなくなった…というのは、1話の結婚の話から逃げ出したことを受けていますね。ああやって逃げることがそれまでの秋葉さんでは普通のことだったんでしょう。ナミさんは家出をすると宣言しますが、風音さんは相手にせずに、一人で勝手に出て行けという風な態度をとります。「もうあの子のわがままだけは聞くわけにいかないの」とありますが、過去に聞いたナミのわがままというのは、ナミがモデルになって失敗したことを指して言っているんでしょうかね。ナミさんは結局一人でバスに乗ってどこかに行きますが、バスの中でも多数の人の視線を前に吐き気をもよおしています。
レオパルドは一人ラジオにひきつづいてまたしても変な企画を一人でやっています。桜さんはレオパルドの頭部に座って、ずいぶんレオパルドとなじんだんですね。レオパルドの一人でやっていた企画宛にメールが届いて、レオパルドは大喜び。「つーつーじーさん」からのメールですね。レオパルドはメールのなかで自分がミラー泥棒の犯人扱いされていて冷や汗をかきます。そしてミラー泥棒のまとめサイトを開くと、そこにはレオパルドのミラーを頂くというベンケイからの挑戦状がありました。ちなみに知ってると思いますが、このURLにアクセスしてみれば今回流れたのと同じフラッシュを見ることができます。レオパルドはコケにされて怒り心頭のところに、秋葉さんはまるで友達を探しているかのような口調で「ミラー泥棒知らない?」と尋ねてきて、レオパルドは秋葉さんに向かってキレます。桜さんが手に持っていたのは、レオパルドからむしり取った部品ですかね。


Bパートになってもたぶんアバンからまだそれほど時間がたっていないと思われます。いつきさんは変装を済ませて登校しようとしたところに、お馴染みのICP上層部の3人がやってきます。いつきさんがICPに復帰できたのはブーゲンビリアとミンタオの首と引き換えだったそうですが、ICP上層部の3人がなんでそんなことをするかと思えば、逆にICPにいつきさんを置くことで、その行動を自分たちでコントロールするためでした。いつきさんは学校への潜入調査に向かうことは許されず、ICP内の鏡という鏡を盗んでいったブーゲンビリアたちの追跡に向かわせられます。ニーナはまんまとしてやられて、机を拳で連打しています。今までどちらかというとニーナが上層部の3人をあしらっているような形だったので、今回その構図が逆転しています。それに伴って追う、追われるの関係だったいつきさんとブーミンの関係も逆転します。いつきさんは学校に行きたそうでしたが、まあ今回は秋葉さんもほのかさんもお休みなので逆に良かったんじゃないでしょうか。
秋葉さんはレオパルドに送りつけられた挑戦状を見つけますが、結局レオパルドからはミラー泥棒についての情報は得られない。ですが何か思いついたようで、「あ!」と言ったところで唐突に場面が切り替わります。


ナミさんが獅子堂家を出て向かった先は、かつて自分の居場所だったモデル事務所のあるところ。かつてのモデル仲間に優しい声を掛けられてナミさんは少し元気になりますが、「さようなら…永遠に」という言葉を聞いてハッとします。この言葉と、このあとに続く言葉は、実際にかけられた言葉なのか、ナミさんの妄想なのか、ナミさんの昔の記憶なのか判別がつきませんが、いずれにせよナミさんはやはりこの人たちが自分を追い詰めたのだと思い出し、手に持ったバッグで殴りにかかります…が、逆に足をひっかけられて転ばされ、落とした携帯電話を踏みつけられ、「逃げた人間に居場所なんてねーんだ」ととどめの一言を突き付けられます。


先ほど秋葉さんが思いついた作戦は、レオパルドが広げたミラーを餌にしてブレインコロニーをおびき出すというもの。秋葉さんはそれを風音さんたちに連絡して、風音さんたちと連携して作戦を実行します。一方でブーゲンビリアとミンタオもほぼ同様の作戦を考えていたようですが、こちらはICPから持ってきたちゃっちい鏡をばらまいてベンケイを誘い出そうとするお粗末なもの。ブーゲンビリアたちを追ってきたいつきさんに、公安をクビになって暴走したかわいそうな人のような扱いを受けて、「誰のせいでこんな目にあったと思ってんだ!」とミンタオがブチギレます。まあ確かに、ここはブーミンに平気な顔で声をかけるいつきさんのほうが空気読めてないよね(笑)。ベンケイは見事に釣れてきましたが、出現位置がおかしかったのは、もしかしてブーミンの撒いた鏡の方に反応したからですか。
獅子堂家にもモデル事務所にも居場所を見いだせなかったナミさんは、壊された携帯電話を復元し、写真の向こうの過去に自分の居場所を見出そうとします。ところがそのパソコンの向こうの写真が渦巻き状に歪んできて、手元の携帯電話も虫の形に変化します。そして過去に自分に向かって投げかけられた(おそらく、炎上したというブログに書かれていたであろう言葉達)が再び表示されてナミさんを苛めます。ナミさんはボーリングの球で携帯電話を粉砕しますが、携帯電話はさらに巨大な虫になってナミさんを食らおうとします。そこにまぶしい光がさしてきて、巨大化した虫は崩れ去り、ネルヴァルの声が響いて、アレイダが手を差し伸べてきます。ナミがアレイダを「おかあさん…」と呼んだのは、教母様って呼び方を受けてかと思ったけど、神楽が実母の可能性が十分ありますね。一連のシーンはこれまたナミの妄想だったのか、ネルヴァルが見せた幻影だったのか判別がつきません。
ナミさんはアレイダの手を取り、獅子堂家の使用人たちを惨殺して、アレイダとともに獅子堂家を出立します。最後のはちょっとショッキングでしたけど、おそらくナミさんが殺したってことでいいんですよね。


アレイダがナミさんをネルヴァルのパートナーに選んだので、秋葉さんの夢の中に出てきた理由がますますわからなくなりましたが、どうなんでしょうか。今回脚本に参加された岡田邦彦さんはコミックス版やノベル版の脚本を担当されている方です。(正直、ノベル版はいいんですけどコミックス版はいまいちです…)。ナミさんのところで印象的なカットが増えていましたけど、ナミさんのキャラクターを考えればそりゃ当然ですし、まあいつものそらかけだったような。次回はベンケイとつつじさんがギャグキャラに成り下がる予感のするあらすじが書かれていましたが、どうなるんでしょう。次週も期待します。