宇宙をかける少女 第10話 「箱入りの娘」


アバンではいつきがICPに復帰できたことと、ブーゲンビリアとミンタオの処遇が話題になっています。いつきさんはいつもの「BAR JANIS」で秋葉さんたちと行動を共にして得たものをニーナさんに報告しています。いつきさんは自分の両親の失踪した事件「テラ・アブダクション」について調べているうちに、いつのまにかブレインコロニーと人間の戦いなんていうスケールの大きなものを扱うはめになっていて、民間人としての調査に限界を感じていたところを、ニーナが手をまわしてICPに復帰することができた、と。ニーナは怪奇課の仕事だけでなく、いつきさんの個人的な調査に協力的なようです。ニーナの言う犠牲は何のことを言っているんでしょうか。「また死ぬ必要があったら言ってね」と軽く冗談も言えるくらいには余裕なようですけどね。
一方ブーゲンビリアとミンタオたちは懲罰人事でエリカとリリーの小間使いに格下げされてしまいました。いやまあ、首が飛ばなくて良かったじゃないですか(笑)。前々回のラストでブーゲンビリアたちが遭遇した、コロニーを破壊する巨大なチェーンソーは、ICPによって無かったことにされているよう。分かりづらいですが、ミンタオが見せてくれる監視カメラの映像をよく見ると、前々回のラストの場面だと分かりますね(逆にここを見落とすと、こないだのあれは何だったのってなってしまいます)。
いつきさんが久々にICPの制服を着て、宇宙船に乗って出動しようとしているときに、どこからか「獅子堂宛」と書かれた箱が流れてきます。これが今回の主役である「ハコちゃん」…いやあ、これも大概前々回の悪霊とキャラ被ってる気もしますが(笑)。メガミマガジンのコラムにも書いてありましたが、「箱」というのがこの作品では大きな主題になるとのこと。ネルヴァリストたちも赤い箱を被っていましたね。今回は特に「箱」に関する発言に気を配って見たらいいんじゃないでしょうか。


秋葉さんとイモちゃんは久々に学校に登校してきます。月に行ってからしばらく行ってなかったので、かれこれ4話分。フリオさんとネネコさんも(前回を除けば)久々に登場。「バカパルドめ、出席日数足りなくなったら・・・割る」と秋葉さんがぼそっとつぶやきます。割るんですか(笑)。そこにいつきさんが先ほど回収した巨大な箱を抱えて秋葉さんのところに突進してきて、奇異のまなざしで見つめる周囲を睨んで黙らせます。箱が前々回の悪霊と同じような感じで秋葉さんに「『エニグマ』の情報と引き換えに亡命を要求する」と意思を伝えます。
前回の9話でキャラを確立した感じのある生徒会の面々が、その様子を校舎内から観察しています。9話を考えると、真宮寺さんはエルさんやエミリオさんが自分の預かり知らぬところで色々やっているのが面白くなくて、エルさんたちが何をしようとしているのか尻尾をつかもうとしているんでしょうかね。


獅子堂のほかの姉妹は前々回何をしていたのかと思っていましたが、冷却装置の奪還は秋葉さんたちに任せて、自分たちは自分たちでレオパルドの改造計画を進めていたんですね。桜さんの設計した獅子堂独自のパーツ「ゴールデンジェントルメンプラグ」をレオパルドに装着して、レオパルドの自己実現達成率は89%にまで高まりました。こないだまで21%だったので、秋葉さんたちのパーツ回収を待たずに風音さんたちが独自に改造を進めることで、随分と効率が良くなったようです。レオパルドは勝手に作ったパーツを取り付けられるのが面白くなくて、風音さんに食ってかかりますが、軽くあしらわれてしまいます。
一方ほのかさんは「獅子堂元老院」の面々に面会をしに行きます。「レオパルドノミコン」を持っているのが風音さんで、エルさんと地下に向かっているのがほのかさんですから、この二人はちょうど今までと立ち位置が逆になっていますね。ほのかさんは50年ぶりに元老院の人たちと再会して涙を流しています。なんだか、思ったよりほのかさんのキャラが掴めないですね。


秋葉さんの元に届けられた箱はエミリオさんの元に持って行かれます。エミリオさんが質問しても、箱は「すべて獅子堂家総帥のみに話す」と一点張り。このあたりから箱が顔文字を使い始めて、キャラがおかしくなっていきますね(笑)。「この箱は怪しすぎます」というエミリオさんに対して、自分は人間だという証拠を見せるからノックしろと箱が答えます。秋葉さんが試しにノックしてみると、「入ってます」と肉声で返答が。この箱は仮設トイレですか(笑)。箱を開けて中を検めようとする秋葉さんに、箱は「開けたら死にます」と答えます。仮設トイレだと思ってしまうとどうしても恥ずかしい格好をしているから開けないでって意味にしか聞こえませんが、後に明かされるとおり、ネルヴァルによって箱の外の世界は絶望に染まっていると洗脳されているからなんですよね。こうして二重性を持たせるのは、所詮ギャグにしてもうまい構成だな。この箱の処遇について秋葉さんが尋ねると、エミリオさんはおそらくICPに引き取ってもらうことになるだろうと答えますが、すると箱は「私は一人の亡命者として行動の自由を要求する」と身勝手な要求をしてきます。
秋葉さんが授業を受けている間、箱は教室の外に。秋葉さんは久々に受けた授業についていけなくて、眠りに落ちて夢の中で神楽と会います。箱の外の世界はつらいから、箱の中に入りたがる人もいる、と神楽は言いますが、神楽=アレイダだと今回分かってしまうので、秋葉をネルヴァル側に引き込もうとするかのような発言に聞こえますね。秋葉さんは授業中に当てられて、フリオさんに起こされて慌てて飛び起きます。教室の外に置いてあった箱は、ゴミを回収するロボットによって回収されてしまいました。馬場つつじさんがその様子を陰から観察しています。つつじさんは9話とは対照的に、今回は一言もしゃべらない。彼女の性格としては一つ、「口から出ることはみんな嘘」というのが原則としてあるんじゃないかと推測してしまいます。


ほのかさんは元老院の人たちに、エニグマが現在レオパルド内に無いことを知らされます。神楽のことを諦めていない、という発言から、とりあえずこの白髪の女の人が神楽じゃないっていうのは確定でいいんですね。エニグマって言うのが何なのかというのは依然として分かりませんが、暗号機と箱の2つから「ブラックボックス」という意味を持っていることが推測できるか。しかしこの男性2人とほのかさんはかなり不調和を起こしている気がする。正直あまりこの人たちは出てきてほしくないです。幸いにもここでエルさんにエミリオさんから箱についての連絡が行って、ほのかさんは秋葉さんの元に向かうことになります。


秋葉さんたちは昼休みになって、教室の外に置いてあった箱が無くなっていることに気がつきます。秋葉さんといつきさんはフリオさんの話の途中で走り出して、「箱、箱、箱、はこぉ〜!」と大慌てで見当外れの場所を探しまわっています。フリオさんは冷静に清掃ロボのログを調べて、清掃ロボが箱をダストチェンバーに持って行ったことをつきとめます。秋葉さんがそこについたときは、ちょうど清掃ロボが箱を処分しようとしていたところでした。秋葉さんはあわてて箱に飛びつきますが、それで止まるはずもなく、そこにちょうどいつきさんが現れて、清掃ロボを銃で破壊し、箱は間一髪で助けられました。「ヒィェ〜!!! (XДX)/」「(((゜Д゜;)))」とまあ、全くもう(笑)。そこに箱の動向をずっと追っていた生徒会の面々が割り込んできて、たった今救出した箱を処分しようとしますが、エミリオさんがちょうどよく現れて真宮寺さんたちを追い払います。
授業も終わり、秋葉さんは箱を家に連れて帰ろうとします。箱は礼儀正しくさっき助けてもらったことにお礼を述べて、秋葉さんたちはポカーンとしています。校舎から出るとほのかさんが息を切らして駆け寄ってきて、「よく逃げてきた」と箱に声をかけます。箱についていつきさんから質問を受け、「ネルヴァルからの逃亡者」と。一連のシーンはつつじさんによってしっかりと観察されていて、何者かに報告を入れています。また、Aパートの最後でカークウッドの内部にバスで入ってきた女の人は、身にまとっている外套からアレイダだと示唆されていますね。


秋葉さんは自宅にほのかさんといつきさん、そして箱を案内します。ナミさんは大勢で現れた秋葉さんたちに驚いて、「なに、あれ?」と。秋葉さんは箱に中から出てくるように言うと、箱は「無理無理無理無理無理無理…」と全力で拒絶し、秋葉さんは引いてしまいます。いつきさんはせっかくの機会なのでネルヴァルについて箱にいろいろ尋ねようとしますが、箱は必要最小限の記憶しか与えられていないようで、いつきさんやほのかさんの質問に全く答えられません。ほのかさんによると、ネルヴァルは人間を箱に誘い込んで、自分の治める世界の部品にする。箱の中では人だったころの記憶や思考が消えていってしまうとのこと。秋葉さんは人をそんなふうに洗脳して都合よく扱おうとするネルヴァルに憤慨して、いつきさんはICPで調べれば箱の個人情報が分かるかもしれないと提案します。いつきさんはそれで箱の記憶が戻れば、自分の追っている「テラ・アブダクション」の手がかりになるかもしれないという期待があるんですね。秋葉さんは箱に「ハコちゃん」とそのまんまの名前を付けて、ほのかさんに「そのまんまだ」と突っ込まれますが、箱は嬉しかったのか肉声で「ハコちゃん…」と繰り返し、顔文字で喜びを表現します。
ナミさんは「友達いるんだ…秋葉」と呟きます。ナミさんもやはり他の姉妹に対してコンプレックスを抱いていたけど、特に自分と最も近い(あるいは自分より劣った)存在だと思っていた秋葉にも、自分にはいない「友達」がいると知って、劣等感を抱いてしまった、といったところでしょうか。ナミさんはこうしてみると風音さんにそっくり…に見えるのは、そう意図して描いたからというよりはキャラデの癖でしょうね。。。ナミさんはもういい加減話から浮きまくっているので、そろそろこのあたりでナミさんの当番回を入れた方がいいんじゃないかと思っていたら、次回予告を見ると次回に当番回が回ってきそう。
秋葉さんたちによって無理やりパジャマに着替えさせられたいつきさん。いやむしろ、この中ではほのかさんのネグリジェが一番いいなあ。箱はいつきさんの姿を見て、自分もかつて花柄が好きだったと思い出し、記憶の復活の兆候を見せます。


さて、秋葉さんたちと箱がずいぶん仲良くなったところで、とうとうアレイダとの絡みが。ここでAパートの最後に出てきた外套の女性がアレイダだったと明示されます。アレイダの装甲服はQTで簡単に着脱できるのか。箱に付属の機能で箱の居場所が勝手にアレイダに通知され、獅子堂邸にアレイダが襲撃します。いやそれより、ポニテをほどいたほのかさんがかわいい。アレイダが襲撃してきた目的は、ほのかさんが言うには逃げた部品の回収か破壊。この非常事態に、侍女たちは素早く行動して、ナミさんをつれて獅子堂邸を脱出。秋葉さんたちも箱を連れて脱出します。アレイダが秋葉さんたちを追いかけてきて、片手で車を止め、タキオンソードを出して秋葉さんの車を破壊しようとしたところを、風音さんが銃でアレイダを吹き飛ばします。秋葉さんはシェルターへと車を飛ばしますが、それでも止めきれなかったアレイダが再び背後から追ってきて、今度は高嶺さんがアレイダに飛びかかって吹き飛ばします。秋葉さんたちの車はシェルターにたどり着く直前で故障し、秋葉さんたちは箱を担いで行こうとしますが、箱はそこで、箱の中から出て自分の足で歩くと言い、箱から出ようとしますが、それをアレイダが感知して、箱に外に出ないように優しく諭します。アレイダの仮面を外した顔は、なんと秋葉さんの夢に出てくる神楽と同じ顔。前回まではてっきり元老院の3人の中央の女性が神楽だと思っていたので、これは驚きです。それと、どうやらつつじさんが手引きしてアレイダはカークウッド外部に逃走します。9話は人間関係が保存されていないのであんまりあてにならないと思ってましたけども、つつじさんがネルヴァル側についているのは確定か。
次回予告は、晴美は絶望先生で、伊澄はハヤテのごとくだけど、としこって何ですか?


アレイダ=神楽が今週で判明しましたが、前任「宇宙をかける少女」が神楽なのも多分そうだと思うんで、神楽はレオパルドと協力して一旦ネルヴァルを退けたあと、何らかの経緯でネルヴァルに協力するようになったのですかね。そして秋葉さんに夢の中で干渉している意図はなんでしょうか。元老院の白髪の女性は前任の獅子堂家の当主であんまり深い意味はなかったりしますか?今週はところどころ作画がおかしかった気がしますが、最後のアレイダが襲撃してからの一連のシーンは力が入っていてよかったです。それと、7,8話くらいから劇的に脚本が良くなっている気がします。今週は箱と秋葉さんが仲良くなっていくこととに焦点を絞っていて、その点に関してはかなり成功していたと思います。綿密に準備をしてきたから、最後に結局アレイダに説得されて連れて行かれるのが切なくなりますね。ああいう人外のキャラに愛着を抱かせるのは大変だと思うのですが、ほぼ「(((゜Д゜;)))」だけでキャラクター性が出てきて面白かったです。次週も楽しみにしています。