WHITE ALBUM 第十頁 「一人相撲が虚しいのは、一人だからってだけじゃない。観客の目が、痛いんだ」


学園祭が終わり、今回からクリスマスライブの話題へとシフトしていきます。美咲さんは前回物置になっている2回の客席で倒れ、彰さんが呼んだ救急車で病院に運ばれました。彰さんは神父の格好をしていたので「いささか気が早かったね、その格好は」と言われています。彰さんも読んでいるスポーツ新聞各紙で、理奈さんが桜団にクリスマスイブの日の「夕凪アリーナ」でのライブを譲り、理奈さんは小規模な「クラブ・カルマ」でステージを行うことになったと報じられています。これは前々回、英二さんがM3の神埼社長に「視聴率勝負」で負けて、アリーナを桜団に譲るというシーンがありましたね。そして彰さんが読んでいるスポーツ新聞では、由綺が「公会堂」という理奈さんよりも大きなステージで初ライブを行うことが報じられています。新聞の文字を読み落とすと分かりづらくなりますが、前回学園祭のステージで「お知らせがあります」と言った内容はこれだったわけですね。英二さんは現在、理奈さんよりも由綺のように興味を示しているのでこのような采配になったのです。
彰さんが新聞を閉じたところに、美咲さんが松葉杖をつきながら歩いてきます。「部屋をそのままにしておく」というのは、美咲さんが掃除できるように、という意味ですね。冬弥くんの父親がめまいを起こして母の写真を落とすシーンが入っていましたが、筋トレを頻繁になってずいぶん元気な父親だと思っていたのに、何がしか病を患ってしまっているようです。美咲さんは緒方理奈も知らないほどアイドルなどに疎いひとだったので、由綺が公会堂で初ライブという記事を目にして「ついにコンサート!」くらいの認識しかしません。「緒方里奈が桜団に負けちゃったよ」と言われても、何のことやらとポカーンとしています。「藤井くん、知っているのかしら?」と尋ねられて彰さんが「さあ?」と言ったのは、学園祭のときに冬弥くんが(彰さんの前では)由綺に全く興味を示していなかったことを受けて。
彰さんと美咲さんはこのままデートに行くことになります。美咲さんの方は彰さんに乗り換えてそれでいいのかと思ってしまいますが、冬弥くんに気持ちをぶつけてすっきりしたということでいいのかな。美咲さん中心の話はたぶんこれで一区切りです。


今回のメインは由綺と理奈さんのほう。由綺は理奈さんのように変装をせずに外に出かけていっても、依然として人の目が集まることはありません。「おとといしゃべっちゃった」内容は、新聞によると公会堂でのライブの話でした。由綺さんは公会堂という大きなステージを1か月後に控え、「ドキドキもする、でも、ワクワクもしているの」と言っています。
英二さんは理奈さんに、クリスマスイブのライブ会場がアリーナからクラブ・カルマに替わったことについて問い詰められますが、英二さんは理奈さんの言葉をのらりくらりとかわします。アリーナの十五分の一の定員になって(カルマの収容人数が1300人で、アリーナの方は約2万人になりますね)、ファンクラブの先行販売チケットについても、払い戻しと苦情が殺到しているとのこと。それでもなお「常に最善を選択している」と言い張る英二さんに理奈さんは呆れてしまいます。この英二さんの理奈さんに対する扱いは、理奈さん自身もその原因を知っているので、納得はしていませんが仕方ないと諦めているのでしょうね。「やるのか、やらないのか?」と英二さんに問われ、理奈さんは目元を拭いながら「…やるわ」と答え、「ただし…」と続けます。
由綺は弥生さんに冬弥くん宛の手紙を預けます。「コンサートまではもう会えない、会わないから、私のけじめです」。これだけだと別れを告げる文章のような気がしますが、後にこれが冬弥くんへの思いを込めた手紙だということがわかります。


一方で冬弥くんのほう。夕凪大学の演劇部はどうやら評論家が何人も来るほど有名らしく、そして田丸はコネでその部長にいるとのこと。田丸君は今回の悲惨な演劇でその名声を地に落としてしまった。さらには美咲さんは田丸によって2階席に軟禁されていたことになっている。今回の演劇に関するあらゆる事柄が田丸の不利な方に向いてしまって、田丸はその元凶をつくった冬弥くんに怒りのまなざしを向けています。そこにはるかさんが空気を読まずに冬弥くんに声をかけてきて、田丸は凄まじい表情で冬弥くんを一睨みしてからその場を立ち去ります。
冬弥くんとはるかさんは待ち合わせをしていたわけではなくて、たまたまはるかさんが現れたんでしょう。主語を省いて「いたよ」と言われ、由綺のことをずっと考えていた冬弥くんは「由綺がいたよ」だと勘違いして食いつきます。ところがはるかさんはずっとマナさんの話をしていて、次第に会話がかみ合っていないことに気づいた冬弥くんが「おまえ、誰の話をしているんだ?」と尋ね、はるかさんは「座敷わらし」とはるかさんの中だけで通じる答えを返して、冬弥くんはさらに困惑します。


理奈さんが「ただし…」の後に続けた言葉は、「藤井君を私専属のスタッフとして加えてほしい」という内容。「どう、社長?」と英二さんは問われ、「本人次第」と返し、理奈さんは冬弥くんと話をつけに行きます。この間に入る回想シーンは、理奈さんが冬弥くんを求めた意図について、由綺が思いを巡らせているということなのかな。弥生さんは先ほど由綺から預かった手紙を理奈さんに託そうとしますが、由綺はそれを引きとめます。すでに「けじめ」をつけた由綺は、「理奈のライブに付き合うって?青年、死ぬかもな」という英二さんの意味深な言葉にも取り合わず、レッスンに集中しようとします。
冬弥くんとはるかさんのほうに戻って、冬弥くんははるかさんに何をしているのか尋ねられます。冬弥くんはここでコーヒーを飲みながら、来るはずもない由綺を待っている?いまいち釈然としませんが、冬弥くんは先日由綺に会えなかったショックがそれだけ大きかったということでしょうかね。二人の会話は相変わらず噛み合わず、冬弥くんのほうは「はるか、俺にはお前が、座敷わらしに見える」と言っていて、はるかさんは「昨日、ちょっと話せたんだ。コンサートまで来ないって」と全然別のことをしゃべっています。冬弥くんは喋っている途中で「コンサート」という言葉を拾って驚きますが、すでにそこにはるかさんの姿はなく、代わりに理奈さんがトコトコと歩いてきます。冬弥くんは「由綺のコンサートって…」と、先ほどはるかさんに訊こうとしていたことを代わりに理奈さんに尋ねますが、「そうなの、残念だけど、コンサートはこれっきりって訳じゃないし」と、こちらも理奈さんの中だけで完結している答えを返されて、冬弥くんはさらに困惑。そして強引に理奈さんにエコーズへと連れて行かれます。冬弥くんが理奈さんに連れて行かれる所を自転車に乗ったはるかさんは見ていたようですが、はるかさんが「悪い虫」と見なされて理奈さんに排除されたようにも見えますね。
今回時間の流れが意識して描かれていたように感じました。最初冬弥くんとはるかさんがあった時は空も明るかったと思いますが、いったん画面が理奈さんの方に移り、戻ってきてからは窓の外が夕暮れになっていて、さらにエコーズについた時にはすっかり夜になっていますね。


エコーズについた冬弥くんは美咲さんと彰さんを発見します。冬弥くんも美咲さんも、あの告白の後とは思えない自然な対応をしています…美咲さんはともかく、冬弥くんはもともと結構図太い人でしたね。前回冬弥くんの行動をいろいろと見ていた彰さんは、すっかり冬弥くんを嫌ってしまったようで、「話の途中なんだけど」「邪魔なんだ」と冷たい言葉を冬弥くんに投げ、冬弥くんは何も言わずに立ち去ります。
冬弥くんは、理奈ちゃんをたった一人の女神と崇める人たちは、チケットがあろうが無かろうがカルマにやってきてパニックになるという趣旨の話をします。このモノローグはちょっと興味深いかも。冬弥くんは自分が「女神」と呼ぶ女性たちと、世間一般にアイドルと呼ばれる人たちとが同じようなものだと思っているのか。これは日常的にアイドルと接している冬弥くんの「アイドル観」を知る手がかりになりそうですね。冬弥くんは由綺と理奈さんのステージを取りかえることを提案しますが、理奈さんはそのありふれた意見を正論と認めながらも「それを決めるのはあなたじゃない(英二さんだ)」と返します。理奈さんの専属スタッフをやるかどうか決めかねていた冬弥くんに、理奈さんは「何もしてくれなくていい。傍にいてくれるだけでいいの」と返して、冬弥くんは専属スタッフの仕事を引き受けます。
イブのコンサートについての記者会見の映像がテレビで流され、美咲さんと彰さん、桜団、由綺と弥生さん、そして神埼社長がそれを見ています。コンサートの模様は夕凪スタジアムの巨大スクリーンに中継されるという趣旨。美咲さんたちのほうは夕凪大学で見ているんでしょうか。美咲さんは田丸君の鋭い視線を感じて怯えています。テレビには冬弥くんがスタッフとして働く姿も映され、スタッフとしてずいぶん懸命に働いていることが伺えます。その様子を見て由綺は曇った表情をしていますね。中継の様子は神埼社長がテレビを消す動作で終わります。神埼社長が計算しているのは何なのかよく分かりませんが、この4797というのが予定動員数だとしたら、アリーナの定員は2万人だったのでアリーナはガラガラになってしまいます。
理奈さんは帰り際に桜団に嫌みを言われてしまいます。視聴率で桜団に負けてアリーナを取られてしまったにもかかわらず、5万人の収容人数を誇るスタジアムを用意して、英二さんは動員数で神埼社長に挑もうとしているということですね。理奈さんは英二さんと神埼社長がそんな勝負をしていたとは知りませんが、まわりのスタッフは知っているようで頭を抱えてしまいます。そこに冬弥くんが現れ、「次の現場押しているんで」と嘘をついて、理奈さんと桜団を引き離します。このことについて帰り際の車内でスタッフに尋ねても、スタッフは一様にダンマリ。最後に冬弥くんの言っていた「もう、(エコーズと家庭教師のバイトは)降りられないんです」というのはいったいどういうことでしょうか。
理奈さんは英二さんにその件に関して尋ねると、M3と緒方プロで観客の動員数で勝負するという趣旨の返事が返ってきます。理奈さんは「兄さんたちのお遊びに付き合っている暇はない」と言いながらも、「どうすれば、私勝てるの?」と弱気な発言をします。理奈さんはアリーナを桜団に取られたことを気にしての発言。由綺が振付のレッスンにやってきて、理奈さんの背後に46701という数字が映されますが、これがスタジアムの予定動員数だとしたら神埼社長には圧勝でしょうね。


弥生さんの方に画面が切り替わって、前々回に提示されていた、ストーカー紛いの手紙・電話の主が明かされます。それはなんとだいぶ序盤の方で冬弥くんが理奈さんのマネージャーになる代わりに首になった平木さん。こんなところで話に絡んでくるとは。彼がストーカーをしていた意図は、勝手な理由で首にされた腹いせなのか、あるいは別の理由なのか、どうなんでしょうね。弥生さんはここで彼からの手紙を破って捨てたように見えて、間違えて由綺から預かった手紙を破って捨ててしまいます。弥生さんはこのあと冬弥くんを家まで送っていくときに、手紙を渡そうとして自分の過ちに気付きます。
由綺が一生懸命に振付のレッスンをしている中、理奈さんはちょっと抜けだして由綺への励ましの手紙を書きますが、ゴミ箱の中に弥生さんが破って捨てた手紙を発見します。理奈さんは由綺のバッグに書き終えた手紙を入れた後、ゴミ箱の手紙を拾ってエコーズに向かい、そこで復元します。その内容は断片的にしかわかりませんが、イブのコンサートをどうしても見に来てほしいという内容。由綺は冬弥くんに会うことも断ち、冬弥くんのためにイブに向けて懸命にレッスンをこなしている。理奈さんは、由綺の気持ちを踏みにじって冬弥くんがコンサートを見に行く機会を奪ってしまったことを悔やみます。


やはり理奈さんが冬弥くんをスタッフにした真意が見えないので、最後に理奈さんが泣いてしまうところもあまり共感できませんね。理奈さんはすでに冬弥くんに恋愛感情を抱いている…ってのとも違うと思いますし。由綺が冬弥くんに初ライブを見に来てほしいことくらい察せられるでしょうから、泣いちゃうくらいなら初めからスタッフになんかするなよって思ってしまいます。なんとWHITE ALBUMは分割2クールだったということが判明したので、理奈さんのエピソードはほとんど秋に持ち越しということになりますか。このままだとはるかさんとマナさんの扱いとか悲惨ですしね。今期中は13話までやるそうなので28日までですが、来週あたりから週末が異常に忙しくなるので、更新が遅れるかもしれません。先週は遅くなった割にあまり大したことをかけなくて申し訳ありませんでした。次週からもWHITE ALBUMに期待します。


・今年のTAFは多忙につき不参加。そらかけのイベントさえなければ特に参加しなくてもそれほど悔いはないけど、どうなんだろ…