WHITE ALBUM 第5話 「邪魔をするのが、近しい人間だけとは限らない。知らない人ほど、手厳しい」

今回「手厳しく」由綺と冬弥くんの仲を邪魔してきたのはもちろん弥生さんですが、邪魔をしてきた「近しい人間」というのは美咲さんのことでしょうね。


前回由綺の部屋に泊まることになった冬弥くんでしたが、冬弥くんがシャワーから上がると由綺は疲れがたまっていたのか眠りに落ちていました。冬弥くんは前回の緊張した面持ちから一転、「ほっとした」顔になりましたね。由綺には何もせずにそのまま朝まで部屋の隅で座っていたようです。
夜が明けて由綺のマンションから出ると、弥生さんが車をつけて待機していました。今回のアバンでチャイムを鳴らしていたのは弥生さんでしょうかね。冬弥くんはそのまま弥生さんに連れていかれて、弥生さんの長い長いモノローグにつきあうことになります。


弥生さんは、「会うなとは申しません。どうぞ会ってあげてください。由綺が許すなら」と言いますが、つまり忙しくて会う暇のない由綺に無理やり会うな、と遠まわしに言っているんですね。「カメラ」に気をつけろというセリフに噛みついた冬弥くんに対して、弥生さんは理奈さんを引き合いに出して答えます。「WHITE ALBUM」においてここまで長いモノローグが入るのは珍しいですね。内容をまとめると、当時の制作部長の手引きによって理奈さんのスキャンダル写真が撮られたが、理奈さんのその後の隙のない行動でそのスキャンダルの影響は薄れていって、最終的に理奈さんはトップアイドルになることができた、と。そしてそんな理奈さんに近づこうとしている由綺の邪魔をするな、と冬弥くんに諭します。冬弥くんは「仕事とプライベートを混同してませんか?」などと詭弁をふるいますが、まあどう見てもマネージャーのバイトのときに仕事とプライベートを混同していたのは冬弥くんですね。弥生さんのほうもバイトをクビにしたことについて「自分は関与していない」という旨の発言をしますが、これも詭弁か。弥生さんは「由綺さんの邪魔はしないでください」と再び冬弥くんに要求してきて、さらには「藤井さん、お寂しいでしょう…?」と、由綺の代わりに私が恋人になりますと言ってきます。こうなるのは公式のキャラクター紹介で分かっていましたが、なかなか衝撃的な展開ですね。

会話の流れ的にはあのモノローグは自然ですが、個人的には長いモノローグってのはちょっと退屈かなと思います。まあ「空を見上げる少女の瞳に映る世界」の2話よりは全然良いですけど。弥生さんに噛みついた冬弥くんはとても痛々しかったのですが、弥生さんの最後の発言でそんな印象は全部吹っ飛んでしまいました。


その日、なんだかんだで冬弥くんは弥生さんとのデートにつきあいます。「由綺から今晩電話がある」と弥生さんから伝えられた冬弥くん。由綺さんからの電話が今晩の話の主題になります。このデートの最中はずっと弥生さんの唇が強調されていましたが、最終的に昨日の由綺の唇と比較して「熱のない、人形の唇」と評されます。タクシーから降りた時の冬弥くんの渋面も併せて、冬弥くんにはこの日、やはり弥生さんに対して抵抗感が大きかったようですね。
冬弥くんが帰宅すると封筒が届けられていました。差出人は「澤倉」…って誰だ?と思ったら美咲さんのことですね。ちょっと前のカットで留守の冬弥くんの家のチャイムを鳴らしていた後ろ姿も美咲さんだったのですね。演劇部の学祭公演用の台本を書いたので、感想がほしいというのが第2話で美咲さんが言っていた「お願い」。ここで冬弥くんのもとに最初の電話がかかってきて、冬弥くんはこの電話を取りますね。ところが電話の主は理奈さん。「相談したいことがあって、明日の午後に会いたい」と言いますが、冬弥くんはその日は美咲さんの件を優先させます。まだ理奈さんへの興味はさほど大きくはないんでしょうね。ところが次にかかってきた電話では、冬弥くんは美咲さんからの台本を読みふけっているように見えて、「ゴメン ゴメン」という心の声から、気づいていながら無視したということが分かります。冬弥くんは最初は由綺からの電話を取る気があったんでしょうから、この2つの電話の間に弥生さんから言われたことが膨らんでいって、取らないことに決めたんでしょうか。


次の日、美咲さんの件があって久しぶりに大学に顔を出した冬弥くん。はるかさんとのノート上の筆談は、このアニメにおいては浮かび上がる心の声の延長に見えてしまいます。「夜、いなかったね」「エコーズ」「うそ?」「さんぽ」「ユキと?」「フフフ、それが朝から大変で…」とテンポよく筆談が進んだところではるかさんからの返答が途切れます。はるかさんはちょっとやきもちを焼いたのか、あるいはノロケをききたくなかったのか、そんなところですかね。
美咲さんが遅刻している冬弥くんを待っているところに、ずいぶん感じの悪い演劇部員の男が現れて美咲さんを連れていきます。そのせいで冬弥くんは美咲さんに会えず彰くんに声をかけますが、彰くんは嫉妬をむき出しにして冬弥くんに対応します。
美咲さんの台本は一応演劇部員の審査に合格したようですが、美咲さんは衣装や小道具の製作まで押しつけられて困惑します。「甘いもんだろう?お前が俺にした仕打ちを考えたら」と言った男と美咲さんの間には過去に何かあったようですね。


その晩、由綺からの伝言をもってきたはるかさん。冬弥くんは暗号を見て顔をかしげますが、はるかさんが解読して「今夜は寝ません、待ってます」…昨晩寝てしまったことを悔いて、やり直しを求めているんですね。冬弥くんはテレビのチャンネルを頻繁に切り替えていたのは、回想にも出てきたとおり弥生さんの件を思い出してどうするか迷っていたことが現れているんでしょう。最終的に「(弥生さんは由綺の)代わりになんか、なるかよ」と踏ん切りをつけて、由綺に会いに行こう…としたところで美咲さんから電話がかかります。冬弥くんは美咲さんと由綺のどちらに会いに行くのか…というところで次回に続きますが、次回のサブタイトルから美咲さんの「トラブルに首を突っ込む」ことになるんですね。


今週は弥生さんのことで揺れる冬弥くんの気持ちがよく描かれていました。今週は短いですがこのへんで。