話数単位で選ぶ、2011年TVアニメ10選

今年も話数単位で選びます。


GOSICK 第12話「夏の午後に蝉の声を聞く」(脚本:岡田麿里/絵コンテ:数井浩子/演出:和田純一)
アスタロッテのおもちゃ! 第4話「パーティーのアンパサンド」(脚本:赤尾でこ/絵コンテ・演出:京極尚彦
花咲くいろは 第10話「微熱」(脚本:西村ジュンジ/絵コンテ:篠原俊哉/演出:羽生尚靖)
バカとテストと召喚獣にっ! 第11話「雄二と翔子と幼い思い出」(脚本:関根アユミ/絵コンテ:笹原嘉文/演出:福多潤)
へうげもの 第26話「呪われし夜」(脚本:川崎ヒロユキ/絵コンテ・演出:モリヲカヒロシ)
輪るピングドラム 第18話「だから私のためにいてほしい」(脚本:幾原邦彦伊神貴世/絵コンテ・演出:山内重保
ましろ色シンフォニー 第7話「たそがれ色のブランコ」(脚本:浦畑達彦/絵コンテ:ウシロシンジ/演出:荒井省吾)
UN-GO 第6話「あまりにも簡単な暗号」(脚本:會川昇/絵コンテ:五十嵐卓哉/演出:中村里美)
Fate/Zero 第10話「凛の冒険」(絵コンテ:桧山彬/演出:小笠原篤)
境界線上のホライゾン 第12話「平行線上への相対者」(脚本:砂山蔵澄/絵コンテ:今泉賢一/演出:青井小夜)


ルール(去年とおなじ)
・2010年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・放送順(最速に準拠)に掲載。順位は付けない。


いくつか選んで簡単なコメントを。


花咲くいろは 第10話
今年最も活躍したコンテマンのひとりに、アニメ版『戦う司書』の監督・篠原俊哉さんが居る。今年は『戦う司書』がTOKYO MXで再放送されたり異様に安いDVD-BOXが出たりと、『戦う司書』ファンにとっては何かと朗報が続いたが、篠原監督が仕事をしまくったこともその一つに挙げられる(本当にお疲れ様です…)。
おかげで良いものをたくさん見られたのだけど、その中でベストワークかなと思った『花咲くいろは』の第10話を選んだ。とても凝った作りになっていて、見ていると時間の感覚が曖昧になってくる。赤色と昇降の動作によって二段ベッドの上段はまるで小さな神社のように見立てられ、そのなかで緒花は告解をする。流石に部屋の配置が元々そういったイメージで作られているわけでは無さそうだが、それを工夫して非日常を創り上げた腕前に驚嘆。


UN-GO 第6話
戦う司書』第4話では読まれるべき人へ「手紙」が届くという奇跡が語られるが、『UN-GO』第6話はラスコール・オセロの側に照準した物語だといえる。幾つかの断片から物語を紡ぎだす「書き手」、探偵とはそのような側面を持っている。海勝麟六の「引用文」は不倫の告白と取れるのだが、暗号の真相がどちらであろうとも矢島にとって「読まれるべき手紙」には違いなかった。ならば、麟六の示した「真実」、それを前にしてなおきみは私を告発できるか……とでも言わんばかりに、麟六は不敵な視線を投げかける。「あまりにも簡単な暗号」を前にして、敗戦探偵はそれを解くことができない。
第6話は『UN-GO』の中で最も意地の悪いシナリオだと思う。麟六の視線で背筋が凍った。


境界線上のホライゾン 第12話
『ホライゾン』は10話・11話のアクションの組み立てが本当に巧いんだけど、ひとつ選ぶなら「弁舌」回を選びたいと思った。彼らの弁舌は、第5話で散った老人たちへの手向けでもある。多くを語らずに去っていった老人たちに報いるかのように、未来を託されたトーリくんたちは弁を尽くし討議を重ね、慎重に歩みを進めていく。そして第12話、トーリとホライゾンの二人は平行線(=互いに公正な立ち位置)からひとつの結論を導き出す。平行線を敷く二人の間には、互いに手を差し出す接点があると。
『ホライゾン』の1クール目は第6話以降、誠実な歩みを見せるところが好印象だった。2クール目も期待。


へうげもの』の話数選定に難航しました。他にも10話とか18話とか、良いんですよね。生きている人間が欲にまみれている中で、颯爽と退場していく姿が。悩んだ末、「いちばん美しく死んだ」丿貫回を選びました。
今年はいい作品がたくさんありました。来年もいい年でありますよう。