「青い花」について


全部見終わりました。録画を積んでしまった理由は、若干序盤が重たいと感じてしまったからですが、嵐が丘が終わったあたりから俄然面白くなりました。7話で恭己が各務先生を今でも好きであることを認めてしまい、そこでふみちゃんとの関係はいったん途切れる。そこから恭己、ふみが自分を見つめなおしてゆく様が非常に面白かったです。主に後半の印象に残ったシーンをいくつか。


・9話で肝試しの時に百合の花を見つめている澤野井が切ないなあ。この百合の花は、「恭己と京子の関係」、正確には「京子から恭己への想い」を表していると考えられて、澤野井はそれを見て「俺は、その人になりたい」と呟く。男の自分では「百合の花」になれない…という澤野井の悔しさが良く伝わってくる。最初に9話で百合の花が出てきたときは、なんて露骨な事をするんだと思ったけど、ふみとあきらに百合の花を摘ませるのではなく、澤野井が百合の花を羨ましそうに見つめるという風に使ったのが、興味を引きます。


・10話は恭己の回想シーンが眼を引きますね。売り物の鏡を装置にして、そこに映った自分を見つめていく、という導入がされる回想。ここの回想はid:tokigawa:20090903さんが詳しく書かれております。恭子は和佐の鏡で、京子は恭己の鏡。その中でも「女の子って簡単だな」っていう恭己のセリフが印象に残りました。このセリフは各務先生はどうしたって自分になびかないということの裏返し。恭己は女の子を鏡にして各務先生を見ていて、前回の澤野井が百合の花を見ているシーンと重なって見えます。
岩屋のシーンで、恭己はその軽薄なあり方をふみに指摘されて、涙を流す。恭己が涙を流す前に、ろうそくのろうが垂れてその気持ちを代弁するのがいい演出です。


・最終話では、(半分くらいは余談だけど)、ふみちゃんが文芸部の仕事で本の入れ替え作業をしているときに、「エデンの東」を箱の中にしまってたのには、思わず反応してしまった。おそらく前のクールにノイタミナでやっていた「東のエデン」を意図してのことで、ふみちゃんが恭己とキスをした図書室で、恭己との思い出を懐古するのに合わせて、前のクールのアニメのことを思い出させる。さらに、それを箱の中にしまうというのは、番組の入れ替え時期ということに合わせて「青い花」も最終話であることを意識させているのでしょうか。他のタイトルの本だったら何とも思わなかったけど、敢えて「エデンの東」を選んだからにはそうとしか考えられない…。
最終話に入ってからは、時間が過ぎるのがとても早い。新学期が始まって、あっというまにクリスマスまで時間が流れる。ふみちゃんはその間に恭己との関係に整理をつけて、自分の「初恋」は千津ではなくあきらだったということに気付く。図書室から始まった懐古は、取り壊しの決まった小学校にまでさかのぼって、そこからふみちゃんとあきらの新しい恋が始まる。


・あと、7話で麻雀が出てきたのには驚いたな。始めて会った客人を、いきなり麻雀の卓に座らせるのは、さすがに普通ではないと思う。なんで麻雀?


true tears以来、久々に良質の恋愛アニメを見ました。とても面白かったです。