かなめも 第7話 「はじめての、お迎え」


かなめもって、おばあちゃんが死んでしまって、独り立ちを余儀なくされた少女・かなの成長を描く物語、だと捉えています。今回は痛烈に「かなの成長」が表現されているシーンがあって、それは金魚すくいの場面。送り火を焚いているときに、かなは昔おばあちゃんと行ったお祭りのことを思い出して泣いてしまう。この回想の中で、かなが金魚すくいが上手く出来なくて、おばあちゃんに折り紙で作った金魚を貰って、慰めてもらいます。そんで、みんなで行ったお祭りで、金魚すくいは結構得意だ、と言って風新新聞の面々の前で、見事紙を破らずに金魚をすくい上げる。これは単に年を取ってかなが金魚すくいが上手くなった、ということではなくて、かなはもうおばあちゃんに慰めてもらう必要がなくなったということ、つまり「かなの独り立ち」の一端が表現されている、と見ることができます。


前回の前向きなエピソードと一転して(第6話については「海ノ藻屑」さん id:tokigawa:20090811 が詳しいです)、今回はタイムリーに「お盆」という、どちらかといえば後ろ向きなテーマを扱って、それでいて(サブタイトルが「はじめての、『お迎え』」であるにもかかわらず)、かながおばあちゃんを「送り出す」話に仕上げたのが面白かった。
かなが代理たちと一緒にお祭りの中を歩いていて、ふと、小さな女の子にぶつかる。この女の子にかなは色々な物をねだられて(たった1000円しかない小遣いを見知らぬ女の子のために使うかなの優しさにも感服しましたが)、途中で赤とんぼが飛んできて、女の子は「ちゃんと、前を向いて歩かないとね」と言い残して帰っていきます。その次にかなは再び転んで視界が暗転し、一匹の赤とんぼのカットとともに、おばあちゃんの「ちゃんと、前を向いて歩かないとね」というセリフが再生されます。
さて、かなが送り出したこの女の子が、かなのおばあちゃんなのかは意見の分かれるところでしょう。しかしこの赤とんぼはまさにかなのおばあちゃんの比喩であって、今回の挿話の一番最後に、赤とんぼがかなの作った「牛」(茄子に棒きれの足を付け足したもの、お盆で迎えた先祖の霊を送り出すときに使う、と言っていましたね)に赤とんぼが止まって、そしてまた飛び立っていくカットがあり、おばあちゃんがかなにきちんと「送り出された」ことが表現されています。この最後のカットが美しい。



・「咲-Saki-」が、ついに田中宏紀さんの一人原画回…。

・夏コミで買ったCDはだいたい聴きましたよ。私が買った中では、encounter+が特に良かった。トランスルーセントって曲がすごく良かった。
あと少女病も良かったですね。「空想RPG!」じゃなくて、「黎明ローレライ」の方が。今まで聴かず嫌いに近かったけど、ちょっとCD集めてみようかな…という気にはなりました。