「夏のあらし!」 第13話 「プレイバック Part1」


連投になってしまうけれど、「夏のあらし!」の最終話に触れないわけにはいかないので、ちょっと感想を書きます。
前回で第1話に登場するキャラクターが出そろって、フラッシュフォーワードとして提示された第1話につながる事実上の「最終回」だったわけですけど、今回は1話のパラレルストーリーというか、そんな感じの位置づけの話。そうなんだけど、ずっと後ろの方になって、潤が「あのときは確か『高倉健よー!』って」というセリフを言って、実は1話の続きだったということが明かされる。1話と同様に風見鶏が魔理沙で、苺爆弾はさくらんぼ爆弾だけど、最後にカヤさんたち4人が腐ったさくらんぼ爆弾と腐った牛乳の餌食になったり、基本的に1話と同じ進行のストーリー。みんなの服装がおかしかったけど、山城君があらしさんに「着物だと暑くないかい?」と言っているので、この世界にいる人には着物に見えているみたいですね。


もう一つ今回の話の主題になっているのは、前回まででうまくまとめたところで、「さて、タイムパラドックスについて考えてみようか」と乗り出してきているところですね。賞味期限の切れた牛乳を賞味期限が切れる前に持っていったら飲めるかという問題は、とうとう最終話にしてもちろん飲めるわけがないと全員の理解を得られました。そこでマスターが「こいつを賞味期限前に持って行って、傷む前のと交換すればいいんだよ」と新たな問題を提案してきます。この提案に一瞬みんなが納得しかけて、潤がおかしなことに気付いたのと同時に、次々にみんなが問題点に気づいて異論を唱えます。結局どうなのか…ということに注目が集まったけど、カヤさんは無碍にも「新しいの買ってきますから」と言ってミルクを捨ててしまいます。しかし、カヤさんが新しく買ってきたミルクも何カ月か放置されたようで(笑)、未来のカヤさんと潤がやってきて、ミルクを取り替えていってしまいます。
まあ書くまでもないとは思いますけど、カヤさんたちが持って行ったミルクは新鮮なミルク、ですよね。今度のマスターの提案は正しくて、はじめや探偵の言ってることは間違ってる。潤が言っている、冷蔵庫にあるのは何カ月傷んだミルクかって言うのは、また別の問題。まあ、あんまり深く考える意味もないことだとは思いますけど、このアニメは意外とタイムパラドックスに拘ってきて、はじめたちの実体験から得られた結論は「歴史は決して覆らない」だったわけです。その上で、こうして新たな問題を最終話で提示するのは、夏のあらし!の最終話として非常に相応しいんじゃないかと思います。


まあシャフトらしくユニークなカットがたくさんありましたけど、その中でも特に、はじめのさくらんぼ爆弾がさくらんぼの山の中に混じってしまって、方舟のみんなが一つずつさくらんぼを摘まんでいくときに、だれかがさくらんぼ爆弾を引いてしまうかもしれないという緊張感が、さくらんぼでジェンガをしているように見えるカットで表現されていて、目に留まりました。


夏のあらし!」は全部で3回くらいしか感想を書いていないんですけど、なかなか楽しませていただきました。高山カツヒコさんはやるなあ。どうやら2期の製作が決定しているようで、2期を楽しみに待つことにいたしましょう。


・「宇宙をかける少女」の「神楽メモ」は、よく考えたら、見せてくれるわけがない(笑)。前回書いたとおり神楽さんの遺言なんだから、神楽さんが生きていることが確定した25話で炎上して読めなくなってしまうのは、必然だったのかあーーー。あれを我々が読みうる展開は樋口さんがサービスしてくれる以外無いんですねえ。