宇宙をかける少女 第19話 「閉じた迷宮」


今回の冒頭は、どこかの小惑星、ベンケイの根城。ブルーバードモールを俯瞰した構図からスタートすることが多いアバンですが、今回はこの小惑星を俯瞰したカットから入ります。どことなく形もブルーバードモールに似ていて、放棄してしまったブルーバードモールの残骸(まあ、占拠されてしまっただけですけど)のようなものにも見えなくもありません。今後ブルーバードモールからスタートすることはないので、それを示唆しているとも見れるか。冒頭から面白いカットです。この小惑星の中でつつじさんは、ベンケイが頑張って沸かしているお風呂に入っています。ベンケイはレオパルドのミラーを奪ったものの、勝ち方が気に入らないらしくまだとりつけていません。復活したレオパルドがやってきて、小惑星が盛大に揺れた後、レオパルドがミラーを取り返します。ベンケイはつつじさんに「あんたはゴビ砂漠よ」と言われたけど、これはどういう意味だろう(笑)。とうとうつつじさんの言ってることが分からなくなってしまった。


秋葉さんが連れ去られたとされる現場では、秋葉さんの人型が地面にチョークで描かれていて、手にしていたとされる黄金銃がマルで囲まれています。これは笑った。殺人事件じゃないんだから(笑)。死体があったわけじゃないからチョークで人型なんか描けるはずがないんですけどね(笑)。事件を目撃したエリカとリリーが、いつきさんから事情聴取をされて、アレイダが秋葉さんを連れ去ったという証言を得ます。前回秋葉さんと仲良くなったレオパルドが「枯葉を奪還するぞ!」と意気込みますが、目の下に隈を作ったエルさんが疲れた声で「ここの住民を落ち着かせるのが先決よ!」と割って入ります。レオパルドは「枯葉探しが最優先だ、あいつをこのままにしておけん」と言い放ち、秋葉さんのことを第一に考えるようになったレオパルドにいつきさんは目を輝かせますが、その理由がレオパルドキャノンが撃てないから、と続けられて、いつきさんはガッカリ。そこに、こちらも目の下に隈を作っているエミリオさんが駆け込んできて、住民たちがトラブっているから戻ってきてくれ、とエルさんに連絡にきます。エルさんは「全部あたしのせいだっていうんでしょ!みんなして私をいじめればいいのよ!」とヒステリーを起こし、めまいを起こしてニーナに寄りかかります。森田さんがエルさんの性格を壊した(笑)。エルさんが「かつてカークウッド大学で恐怖政治を引いた風紀委員長」だとか、「古の学生運動」でニーナが「反乱分子」だったとかいう話が出ましたが、これは4話で出てきた再編特区の話と関係があるんでしょうか。ひとまず、あまりのエルさんの醜態に「まずはこっちをなんとかしないと」という方向で話がまとまりました。


さて、先程のエミリオさんの話に、ベンケイとやりあった影響でミラーとコロニーを結ぶ配管が繋がっておらず各方面でシステムダウンが起きている、というのが出ていました。疲弊しきっているエルさんを手伝う、という方向で話がまとまっていたので、とりあえず怪奇課はその配管を修理することになって、「未知なる大自然」レオパルドコロニーの地下へと探検に出ることになりました。未知なる大自然という表現は、不思議生物がたくさん出てきた8話を思い出せばわかります。ウルは自警団の監督の仕事に行くことになりますが、たまたまパトロール業務から帰還したブーミンにその話が振られます。ブーミンはものすごーく嫌な顔をして断ろうとしますが、仕事熱心ないつきさんのファインプレーで、ブーミンといつきさんが地下へ行くことに。地下に行って、いつきさんはブーミンにそのことをグチグチと言われ、ブーミンは配管を直しているときに泥水を浴びて踏んだり蹴ったり。こうしてブーミンは体が汚れてしまったので、3人は温泉に入ることになるわけです。森田さんの脚本にしては結構話が飛んでるけど、やっぱりこれくらいの方がテンポが良くていいですよね。
レオパルドキャノンの発射があった後に湧くという温泉でに、いつきさんとブーミンは入ります。ブーゲンに「なんでニーナ課長相手に点数稼ぎなんかしてんの?」と訊かれるといつきさんは「点数?」首をかしげ、「ニーナ課長のどこがいいの?」とミンタオに訊かれると「実はニーナは偉大なんです!」と喜々として返事をします。「点数」なんて胡乱な単語を出すあまりやる気のない警官のブーミンと、生真面目ないつきさんの対比がなされていますね。「そもそもなんで怪奇課に入ったわけ?」とブーゲンに訊かれると、いままで何度か語られた生い立ちがいつきさんの口から6倍速で出てきます(笑)。これも笑った。ちなみに実測したら、早送りの間は15秒だったので、いつきさんの語りは1分半くらい。いつきさんの生い立ちを聞きブーミンは号泣。「お互いつらい目に合ってきた者同士、これからは助け合って生きていこうね」と3人は友情を深めます。そこに不思議生物の一種の進化したタコが温泉から湧いてきて、ブーミンが食われてしまいます。こいつは前見たより断然キモいですね。
自警団の監督に行ったウルはとりあえず武器を捜させますが、50年前に使用されて以来の武器庫には使えるものがなく、ウルは仕方なく兵隊の質を上げることに。「貴様らの任務は何だ!」「サー!イエッサー!おれたちの任務は、レオパルドの住民を守ることであります!」とミリタリーなノリで自警団の兵士の訓練をしています。そこにいつきさんがバスタオル一枚の姿で走ってきて、兵士たちは鼻の下をのばしますが、ウルが「見るんじゃねえ!」と一喝すると、兵士たちは即座に直れをします。いつきさんを追ってきたタコに向かって、ウルは自警団を戦わせようとしますが、自警団の兵士は一目散に逃げ出してしまい、「世の中には、やってできることとできないことがあるようだぜ」とウルは達観します。触手が伸びてきていつきさんが絡めとられますが、どこからか光弾が撃たれてタコの腕がちぎれ、いつきさんは腕ごと地面に落下します。さらに続けて光弾が撃たれ、タコは氷漬けになったブーゲンを吐き出してどこかに逃げていきます。これはほのかさんのQTによるもの…ではなくて、月から帰還した風音さんが発射したキャノン。風音さんはニーナと挨拶を交わし、久々に再会したエルさんに後ろから抱きつかれます。エミリオさんは風音さんから「エミリオ君も大変だったわね」と声をかけられると嬉しそうにしますね。すっかり忘れていたけど、第6話で出てきた設定で、この人は風音さんのことが好きなんだった(笑)。そうしている間ずっとウルは逃げ出した自警団のメンバーを叱り続けています。残念ながら何を言っているか全然聞きとれないけど、最後の「ミトコンドリアの卵くらいだ!」だけちゃんと聞こえますね。
風音さんはエルさんが悪戦苦闘していた山積みの苦情をあっという間に処理してしまいます。エミリオさんから絶賛されますが、「エルがあらかじめ的確な対応をしてくれていたからよ」と謙遜します。風音さんは神楽=アレイダが秋葉さんを連れ去っていった、と知らされます。風音さんたちはもちろん秋葉さんの奪還のために動くわけですけれども、それは次回以降に持ち越しで、今回の後半は秋葉さんの話。


Bパートは秋葉さんの話。A,Bパートで別々に話を進めるスタイルも定着してきましたね。秋葉さんとイモちゃんはクサンティッペコロニーで、クサンティッペのひどい歌に目を覚まします。イモちゃんは最悪の寝覚めで、「ひどい歌に頭がくらくらしますぅ〜」と。クサンティッペはそのひどい歌にも関わらず、秋葉さんに「あなたが『宇宙をかける少女』だというのなら、私はさながら、『宇宙の歌うおねえさん』ってところね」と自己紹介をして、こいつはジャイアンかよ(笑)と思っていたら次回予告でそのネタをやりやがった(笑)。秋葉さんをカークウッドに連れて来い、とネルヴァルに指示されて、クサンティッペはアレイダがレオパルドコロニーに侵入するためのおとりになったと、前回の顛末はそんなところのようです。
秋葉さんはレオパルドに帰ろうとしてクサンティッペの内部を走り回り、大量の箱人間が並んでいる空間にたどり着きます。同じころ、ナミさんもネルヴァルにカークウッド内の箱人間の倉庫に案内され、箱人間について二人は同時に説明をされますが、ネルヴァルは抽象的に、クサンティッペはもっと具体的に説明をしてくれますね。「フルカウル」と呼ばれるその箱は、人間から余計なノイズを取り除いて、ピュアなシグナルのみにろ過するフィルター。こうして「標準化」された人間をたくさん抱えることで、ブレインコロニーにはエネルギーが満ちてくる。それが箱人間をブレインコロニーの「部品」と呼ぶ理由。「あなたにもそろそろ、この箱の仲間入りをしてもらおうかしら」とクサンティッペが言い、秋葉さんに光弾を放つ機械が襲いかかってきます。その機械から逃げている間に、秋葉さんは見覚えのある花柄が描かれた箱を発見します。それは10話の時に秋葉さんが描いた花柄で、「ハコちゃん」のはずです。秋葉さんが「ハコちゃん、一緒に逃げよう!」と叫んでも、ハコちゃんは「意味不明」と文字を打ち返し、「通報」と赤い文字を点灯させます。秋葉さんと会った記憶はすでに薄れてしまっているんですね。まわりの箱たちも「通報、通報」と騒ぎ出し、ハコちゃんに「逮捕」と文字がともると、秋葉さんの前にフルカウルが用意され、秋葉さんはその中に押し込められます。
今回の最後のネルヴァルのセリフが印象的です。「私はあれを失い、代わりに二人の少女を得た。白と黒、光と影。歴史は私に何を求めているのか。」白が秋葉さんで、黒がナミさん。ネルヴァルは2人の「宇宙をかける少女」を必要としていて、ナミさんは箱詰めにする必要はないが、秋葉さんはフルカウルに入れてしまったんですね。


ネルヴァルが2人の「宇宙をかける少女」を必要とした理由は何なのか、それが今後問題になりますかね。次週も期待。
EDのシングルは今日発売です。裏のジャケットの秋葉さんがはいてない


シャングリ・ラの文庫本を買ってきて、第二章まで読みました。とりあえず國子がぜんぜん違う。おバカな子だと思ってたのにそうじゃないし、原作だとすでにメタル・エイジの総統に就任しています。アニメの方は、メタル・エイジを継ぐかどうか決めかねていて、それだとたとえ原作と同じ行動をとっていたとしても(たとえば、池袋に行ったり)意味合いがだいぶ変わってくると思うんですけど。そらかけと同じ匂いがする、と思ったのに原作はそうではなかった。アニメはどんな方向に向かっているんでしょう。