宇宙をかける少女 第18話 「蘇る神」


前回は商業ステーションにナミさんがイグジステンズを連れて襲撃をかけたところで、そこにレオパルドがワープしてきたのでした。ナミさんがレオパルドを「黒い神様」と呼ぶのは、単に語彙が貧弱なだけのようですね。秋葉さんたちはなじみのない商業ステーション付近にワープしてきたので、一見してここがカークウッドなのかどうなのか分からず、イモちゃんは「帰ってきたんでしょうか…」と弱気な声を出します。しかしいつきさんにとってはいつもニーナと飲みに行く馴染みの「BAR JANIS」がある場所で、「ここはカークウッドに間違いありません」と言います。ほのかさんは外にイグジステンズがいることに気づき、レオパルドは恐れおののき、秋葉さんはナミさんの姿を確認してQTアームズで飛び出していきます。ナミさんは秋葉さんの姿を見て苦い顔をし、イグジステンズをまとめて撤収していきました。
唐突に撤収してしまったように見えますが、ここは第15話の時に秋葉さんがナミさんに植え付けた「トラウマ」が原因になっているんですね。ナミさんが力いっぱい振り下ろした「プリマ・ヴェーラ」を、秋葉さんが片手で受け止めてしまって(もちろんQテクターのおかげですが)、ナミさんを「あんたいい加減にしなさいよ!」と怒鳴りつけました。ナミさんは秋葉さんのことをずっと下に見ていましたが、突然秋葉さんが注目を集めるようになってしまい、ナミさんの中で上下関係が逆転しました。しかしプリマ・ヴェーラとイグジステンズの力によって、ナミさんは秋葉さんよりも上位になったと考えましたが、ナミさんの攻撃は秋葉さんに防がれてしまって、やっぱり秋葉さんには勝てない…。それが今回ナミさんが秋葉さんが出てきただけで撤退した原因でしょう。


イグジステンズの撤収を受け、「このボクに恐れをなしたか!」とレオパルドが久々にふんぞり返っていると、ベンケイが反乱をおこしてミラーの切り取りを始めます。ベンケイに「お前の時代は終わったのだ!」と宣告され、レオパルドは甚大なショックを受けます。2枚のミラーを切り取ったベンケイは、いかにもレオパルドを馬鹿にした口調で捨て台詞を言ってどこかにワープしていきます。内田直哉さんのここの演技はそれはもう笑ったけど、うまく文字で書けないのが残念だ(笑)。レオパルドはベンケイに馬鹿にされたショックであおむけになって燃え尽きた様子。
秋葉さんの元にエルさんから連絡が入って、秋葉さんたちはエルさん・エミリオさんと商業ステーションで再会を果たします。生徒会メンバーがイモちゃんのドロイドを使って荷物を運んでいるところに出くわして、イモちゃんは「もしかして、それは私の〜」と駆け寄っていきます。昌さんから丁寧にしばらくお借りしますという挨拶を受け、いつのまにか自分のドロイドが盗品になっているということをイモちゃんは知ります。さらに秋葉さんたちがエルさんと一緒に道を進んでいると、ブーミンが待ち構えていて、いつきさんはジャニスでニーナと再会します。
いつきさんはニーナから、秋葉さんとほのかさんはエルさんたちから、それぞれカークウッドが占領されたことを説明されます。エルさんとエミリオさんはいつのまにか「議長」「副議長」に就任していて、ニーナは手際がいいですね。なんせエルさんにそのことを説明→ナミさん出現→レオパルド出現→秋葉さんと再会で、どこにも時間が空いてないぞ(笑)。まあ深く突っ込まないようにしましょう。ほのかさんは元老院が崩壊したことを聞かされてショックを受けています。獅子堂家の状況は「風音さんと高嶺さんが行方不明」と言われ、秋葉さんはそこで、高嶺さんがネルヴァルの手に落ちていたことを思い出します。エルさんは、ネルヴァルに場所の割れてしまった商業ステーションから、難民たちをレオパルドコロニーに移住させたい、と秋葉さんに伝えます。秋葉さんはレオパルドがコロニーと接続できなくなっている、とエルさんに返事し、秋葉さんはこのあと、レオパルドを立ち直らせることになります。
いつきさんはニーナに、地球での出来事の報告をして、フォン博士の取り調べの映像も見せます。ここのシーンは背景のブーミンがひどい暴飲暴食をしていて、ついつい背景に目が行って笑ってしまうんですが、良くできていることにいつきさんたちは何一つ新しい情報を出していないんですね。ここはいつきさんが地球の出来事を報告した、ということだけが分かればよくって、ほとんどのカットは背景のブーミンで笑うために存在しているんですね。私はブーゲンビリアが3回くらい繰り返してパスタを口の中に放り込んでいるあたりから背景にくぎ付けになりました(笑)。


商業ステーションからたくさんの宇宙船が飛び立ち、レオパルド内の砂漠に降り立って、レオパルド市街も人でにぎわっている様子が順々に映されます。その市街を走るレオパルド線の中で、エルさんは「この人たちを救えるのはレオパルドだけ。そしてレオパルドを立ち直らせることができるのは、秋葉ちゃん、あなただけなの」と秋葉さんに言います。秋葉さんは嫌そうな顔で、「あたし、レオパルドの保護者でも何でもないし」と答えると、エルさんは怒って「そんなこと言ってる状況じゃないの!」と座席をバンと叩きます。普段から学校では秋葉さんに手を焼いていたんですかね(笑)。短いやり取りだけど、そういう雰囲気が滲み出ていました。「レオパルド前」に着き、エルさんから「大人になりなさい」と言われて、秋葉さんは嫌そうな顔で電車から降ります。
ナミさんは「黒い神様」を見て逃げてきた、とネルヴァルの前で報告して、部下の3人から散々に馬鹿にされます。ナミさんが飛びかかろうとすると、高嶺さんが首元に刀を突き付けてナミさんを止めます。久々に高嶺さんがしゃべった(笑)。7話くらいの頃は高嶺さんが好きだったのに、12話以降出番なんかほとんどありません。ネルヴァル本人はナミさんの言わんとしていることを正確にくみ取って、「レオパルドのことだ」と言うと、部下の3人も目を丸くします。「すまないな、レオパルドが迷惑をかけて」というネルヴァルの言い方に、ナミさんは違和感を感じています。部下の人たちの反応もそうでしたが、やはりネルヴァル側も「レオパルドは仲間」という感覚を未だに持っているんでしょうね。ネルヴァルも、レオパルドのことを「親に反抗する子供」のように思っているんでしょうかね。


さて、Bパートはずっと「レオパルドを立ち直らせること」が主題に置かれています。そしてBパートの秋葉さんは神懸って可愛かった。秋葉さんはしばらく「接続してみよやってみよー!!」とかいう感じで声をかけ続けましたが、レオパルドは無反応。秋葉さんは態度を変えて、「いつまでもそんなところに閉じこもってらんないでしょー!」と投げますが、レオパルドはやはり無反応。秋葉さんはやり切れなくなって「ダメだ…」と諦めますが、市民への対応で疲れきっているエルさんにきつく言われ、「あたしって、やっぱり駄目なのかな…」と凹みながら再びレオパルドの説得に向かいます。今度はイモちゃんが「火事だー!!」とか「レオパルド君、君は完全に包囲されている!」とか、いろいろ試してみますが、やはりレオパルドは無反応で、イモちゃんも諦めて今度はいつきさんを電話で呼び出します。
いつきさんはレオパルド砂漠で交通管理をしていましたが、その恰好のままレオパルド線に乗って秋葉さんの元に駆けつけます。いつきさんは、「私はずっと、思い悩んできました。どうしたら、レオパルドさんとの距離を縮められるか。悩みに悩みぬき、そして今も、悩んでいます」と、恋愛相談にしか思えない独白をして、秋葉さんはドン引きしています。いつきさんの顔がなんだか白っぽいのはどうしてでしょう。秋葉さんは、レオパルドを知る努力をしていないからダメなんだ、といつきさんに言われ、秋葉さんは珍しく開き直って「努力したってレオパルドのことなんてわかるわけないじゃない!」「どうせあたしはいつきちゃんみたいに頭良くないもーん!「あたしは叱られたって駄目なの!褒められた方が伸びるの!」と。今までの秋葉さんとはちょっと違う路線だけど、最後のは可愛いぞ。レオパルドと同じセリフを言いやがったなあ…と思っていたら、電車の上からほのかさんが声をかけてきて、そのことを指摘しました。それでいつきさんが何やら思い立ったようで、レオパルドを「褒めて立ち直らせる」作戦に出ます。
「祝!生還記念!おめでとぅ!」と秋葉さんがクラッカーを鳴らし、御馳走を広げてパーティーを開きます。「こうして無事戻ってこられたのも、みんなレオパルドのおかげだね!」と秋葉さんが言い、みんなも口々にレオパルドを褒め称えて、レオパルドは下の様子に興味を示して顔を出します。そこでほのかさんがボンデージ焼きを勢いよくパタパタとあおって、煙で目がやられたレオパルドが落下してきます。クロオビが桜さんの指示でレオパルドを空中でキャッチし、地面に叩きつけます。最後のは秋葉さんの予定にあったのかどうか分かりませんが、とにかくレオパルドを下に連れてくることに成功しました。本気で怒るレオパルドを、秋葉さんは「ちょっとつきあって」とコロニーの外に連れ出します。
「あたし、ついこの間まで、『どこかにいかなくちゃ』って思っていただけだったのに。あんたが、あたしを連れ出してくれたんだよね」「『宇宙をかける少女』か。あんたとなら、どこまででも行ける気がする。この宇宙の、どこまでも」「なのにあんたがそんなとこでグズグズしていてどうすんのよ!」と、秋葉さん。レオパルドも内面をさらけ出して、イグジステンズとベンケイから受けた屈辱を言うと、秋葉さんは「そんなの誰も気にしないって」とレオパルドを慰め、エルさんやニーナを通じて避難民に呼びかけて作り出した、懐中電灯の光による「オカエリレオパルド」文字をレオパルドに見せます。レオパルドはそれに感動して、「コロニーの主として、お前たちの上に立ってやらんでもない」とレオパルドらしく少し恥ずかしがって言います。秋葉さんもレオパルドに抱きついていって、感動を分かち合っているところで、「ブレインコロニーが接近している」とクサンティッペの襲来を告げる連絡がエルさんから入り、水を差されます。いやしかし、いつものそらかけならばどっかでギャグシーンに様変わりするはずですが、今日はそうなりませんでしたね。こうなると、秋葉さんとレオパルドのシーンを演出したいがために、数々のニセ感動シーンをやっていたのではないかとすら思えてきます。まあ、好意的に解釈すればそうなりますが、悪く受け止めれば初めてそらかけの脚本をやった野村祐一さんが空気を読めなか(ry。いや、そういう風に解釈しましょう。
さて、クサンティッペが相当に調子はずれな歌を歌いながら(田中理恵さん、お疲れ様です(笑))、レオパルドに復讐をかけてきます。ブーミンといつきさん、ほのかさんがQTアームズで出撃していきますが、敵のリモートアタッカーの数は200以上。するとブーミンはブーミンガーとミンタイガーに分裂させて「これで数の上では互角なはずよ!」と言い放ちました(笑)。「あいつら計算苦手なんだなあ…」とウルが手ひどい突っ込みを入れます。ところが敵のリモートアタッカーはいつきさんたちをスルーしていって、レオパルド本体に攻撃を仕掛けに行きます。ほのかさんは突然意識を失って、QTアームズも機能停止。ほのかさんは13話でも手の麻痺を感じていましたね。ほのかさんはこのあと苦しそうな表情で意識を取り戻しますが、いったいどうしたんでしょう。
レオパルドは接続端子を見るとやはりためらっていましたが、秋葉さんが「さっさとつなげええぇ!!」とレオパルドを蹴り上げて無理やり接続させました。レオパルドもいったん接続してしまったら怖いものがなくなったようで、さっそくクサンティッペに向かってレオパルドキャノンの準備を始めます。レオパルドキャノン発射はやはりコロニー内部も危険なようで、ICPが先導して住民を避難させています。しかし、引き金を引く秋葉さんが黒焦げになるのは避けられない(笑)。どう見てもこのシステムは欠陥でしょ(笑)。レオパルドキャノンは直撃はしなかったものの、クサンティッペのボディをかすって、クサンティッペは逃げ帰ります。住民たちからは拍手喝采。しかし、どこからか侵入したアレイダによって、秋葉さんが連れ去られてしまいました。


今回そらかけの原則を破ったのは野村祐一さん。脚本は全体的にブラヴォーでした。最近作画が低迷気味だったけど今週は久々に良いなあ…と思ってたら椛島さんが作監やってたんですね。次週は10日をまたぐのでPREVIEWは切れていますが、誰が脚本やるのかな。次週も期待。


あー、CMですか。もうさすがですよ(笑)。なんでもやりやがるそらかけスタッフに最大限の尊敬を。