宇宙をかける少女 第17話 「友達の輪」


前回木星まで飛ばされてきた秋葉さんたちは、そこでレオパルドコロニーとベンケイのコロニーが合体したものを発見したのでした。ウルによると、レオパルドコロニーは強力な電磁波に覆われていて、レオパルドコロニー内に雷鳴が鳴り響いています。今すぐ離脱しないと電子機器が全部壊れてしまう、という状況にも関わらず、レオパルドはコロニー内のネットワークと接続したがらず、コロニーを動かすことを拒否します。神楽さたちから受けた精神攻撃によってレオパルドはネットワークへの接続に恐怖を抱いているからですが、レオパルドは「エネルギー切れだ!」と咄嗟にウソをつきます。コロニー内で巨大な揺れが起こり、レオパルドコロニーは木星に向かって落下を始めます。秋葉さんはQTアームズで落下を食い止めようと提案しますが、いつきさんにQTアームズでどうにかなるわけないでしょうと言われ、再び喧嘩の起こりそうな雰囲気になります。そこに「あの、いい考えがあります」と聞き覚えのない声が突然割って入ります。「ああ、すみません。ここです、ここ」と桜さんのマフラーが地面から手を挙げています。「よいしょっと」と言って桜さんの帽子が動物のように起き上がって「僕にいい考えがあります」と話を続けます。一同は唖然(笑)。これが「ゆぴたん」ですね。男の子だったのか〜。四本足でずいぶん動物っぽい格好をしていますね。秋葉さんから「あのー、誰?」と突っ込まれると、ゆぴたんは名刺を取り出して丁寧に自己紹介をします。「獅子堂評議会 異星人 ゆぴたん」と書かれた名刺を見て秋葉さんは首をかしげます。ゆぴたんは他のみんなにも名刺を配って回ります。イモちゃんといつきさんからは名刺を受け取って、レオパルドから「のんきに挨拶なんかしている場合か!」と突っ込まれるまで、ヘコヘコした妙なテンションが続きます。それからゆぴたんはレオパルドコロニーが現在置かれている状況を説明しだして、「落下の加速を利用して横から推進力を加えれば脱出できるはずです」と言います。推進力はどうするのか、とウルに聞かれて、ゆぴたんはベンケイを指名します。
次のカットではもう、「レオパルド線で先頭に行けば乗り移れますよ!」とレオパルドの路面電車が動いているカットに切り替わってしまい、初見だと全く状況がつかめませんが、秋葉さんたちはゆぴたんの何かしらの作戦を実行するためにつつじさんたちをベンケイのコロニーに向かわせたわけですね。こんなに説明がぶっ飛んだのは久々だ(笑)。
ベンケイとつつじさんは久々にベンケイコロニーに足を踏み入れます。「(レオパルドコロニーで起きた地震を受けて)揺れもなく、安定しているわね、ここは」とつつじさんが言うと、ベンケイは「ふん、私の優秀さの証だ」と即答し、つつじさんに「スカスカで構造材だらけのハリボテボディが衝撃を吸収しているのよ」と力のこもった声でベンケイのセリフを訂正します。いやあ、つつじさんのおかげでベンケイはレオパルドのように調子に乗らずに済んでいるんですね(笑)。ベンケイはコロニーを動かそうとしますが、木星の重力に引き寄せられてうまくいきません。ベンケイは「やむをえん、奥の手を使う!」と言って背中にある放射線状に広がるミラーを回転させて推進力を得ようとします。しかし、レオパルドとの衝突で故障してしまったらしく、回転は途中で止まってしまいます。秋葉さんは我慢できなくなって、「私、やっぱりQTアームズで出る!」と走り去っていき、ほのかさんもそれについていきます。いつきさんも渋々と二人のあとを追いかけます。
秋葉さんが一生懸命押しているのはベンケイのプロペラの先端部分の羽ですね。そこに横から力を加えて回転させようとしています。「秋葉だけにはしない」とほのかさんも加わってきて、いつきさんは「早く離脱しないと!」と言いますが、ほのかさんに「邪魔をするなら帰って」と言われるとむきになって秋葉さんたちに加わります。ベンケイは「だめだ、落ちるー!」と絶望していますが、突然意味不明に「人生五十年」を始めたつつじさんに「がんばんなさい。どうせ失敗しても死ぬだけよ」と励ましなのか何なのかよくわからない言葉をかけられ、ベンケイも本気を出し、ついにプロペラが回転を始めます。プロペラが回転しだしてから、秋葉さんたちが「動いた!」と声を合わせて喜ぶところまで、なかなか気合いの入ったカットで良かったです。ベンケイは相当にテンションが上がって、「いま私は、誰にも止められん!」と言って、レオパルドコロニーに向かって落下してくる隕石を、数々のミラーを刈り取った例のチェーンソーで一刀両断します。これはなんか、7話で高嶺さんがレオパルドキャノンを塞ぐ氷の塊を一刀両断したカットを思い出させますね。
秋葉さんたちはレオパルドコロニーに戻ってきて、「助かった〜」と一息ついています。いつきさんは今回自分が助かったのは秋葉さんのおかげだといい、前回の喧嘩について「やつあたりをしてしまった」と謝罪をします。秋葉さんもいつきさんの気持ちを考えなかったことを謝り、ほのかさんが「私たちはネルヴァルに多くのものを奪われた。取り戻したい気持ちは同じ」とまとめて、3人は仲直り。


木星の重力圏を脱出した秋葉さんたちはプロキシマの冠(太陽系に最も近い恒星、プロキシマ・ケンタウリから名前を取っています)の近くまで来ていて、「あのステーションを使えば、地球に帰ることができますよ」とゆぴたんに言われ、その内部を案内されます。そこは異星人と人類が交流を深めるために作られた「出島」で、しかしバブルがはじけて採算が取れずに撤退したとか。秋葉さんの夢の中にも出てきた「プロキシマの冠」は獅子堂評議会の最後の拠点で、神楽さんの望みでレオパルドコロニーからここに「軌道喫茶えにぐま」を移設した、とゆぴたんは説明を続けます。ほのかさんは「えにぐま」が今ここにあると聞いて走り出し、秋葉さんはそれを追いかけます。秋葉さんは夢の中の出来事はほとんど忘れていて、デジャヴのようなものを感じるくらいです。ほのかさんが走ってたどり着いたのは、秋葉さんが「七つの太陽」を見上げる角度からして、おそらく「えにぐま」の跡地。秋葉さんはその場所にきて、「私、ここで神楽さんと会った」と夢の内容を思い出します。
えにぐまがあるべき場所になかったことについて、移設をした張本人のゆぴたんは訝しんでいます。「ほのかちゃん、えにぐまって結局何だったの?」と訊かれて、ほのかさんはえにぐまにまつわる神楽さんとの思い出話を始めます。秋葉さんは夢で神楽さんがメモを張っていたのが「リクエストボード」だったと気づき、「もしものときはこれを見なさい」という神楽さんの言葉をみんなに伝えますが、「夢が何かの当てになるとも思えんが」とのウルの言葉もあってあまり重要視されませんでしたね。ほのかさんも「無いものは無い」とえにぐまのことをあきらめて、カークウッドに帰る流れになります。ほのかさんは神楽さんに固執してみんなに迷惑をかけたことを教訓にして、今回えにぐまをすっぱりと諦めたわけですね。喧嘩のことがほのかさんにプラスに働いていることを描くにはこうするのが一番でしたが、神楽さんのメモのことは焦らされてしまいました。
ゆぴたんからカークウッドに帰るための方法を教えてもらいます。それはプロキシマの冠に蓄えてあるエネルギーを使って「ハイパージャンプ」を繰り返すというものですが、コロニーを動かすことを恐れるレオパルドは拒否してしまいます。「つながったら、あいつらに見つかってしまう!」と嫌がるレオパルドを見て、ほのかさんはレオパルドがイグジステンズから精神攻撃を受けたのではないか、とピンときます。


Aパートではずっと秋葉さんたちの話をやっていましたが、Bパートに入って、いったんカークウッド側に話の中心が切り替わります。商業ステーションでは、ニーナはエルさんからネルヴァルと獅子堂評議会の話を聞かされ、「ネルヴァルなんてやつが本当にいたんだねえ」と感心しています。きっと怪奇課としていつきさんを通じネルヴァルのことは多少知っていたんでしょうが、エルさんの口からきかされるまで半信半疑だったんでしょうね。ニーナはモノローグでいつきさんを心配している様子を見せます。エルさんと話している間もやはり気になっていたのはいつきさんのことだったんでしょう。ニーナがエミリオさんと外を歩いていると、最近部下になったブーミンが生徒会メンバーとトラブっているところに出くわします。真宮寺さんは学園の生徒を助け出さないと、と力説しますが、ミンタオに「馬鹿ねえ、行くのはいいけどつけられたりしたらどうすんの」と言います。その言葉をそのまま、今回の挿話の最後のブーミンに向かって言いたい(笑)。ニーナはエミリオさんにも学園の生徒を救出したい、と頼まれ、ブーミンを学園島の偵察に向かわせます。
月に潜伏していた風音さんは月の管理局に向かいます。融通の利かないガードマンに銃を突きつけて、風音さんは強引に月の司令に会いに行きます。風音さんは満面の笑みで銃を突き付けていますね(笑)。獅子堂の名前を聞いてピンときた月の司令は、狼藉をとがめることもなく普通に風音さんと面会します。風音さんは内密に足の速い船を一台借りたい、と席を立って司令に言います。内密に事を進めたいのは、ネルヴァル側に自分の動きを知られたくないからでしょう。司令は胸を見つめて顔を赤らめ、色仕掛けに落ちて「お安い御用ですとも」と承諾してしまいます。その一連の様子は何者かの盗聴器だか監視カメラだかに記録されていたようです。
秋葉さんたちの話の続き。レオパルドが使い物にならないものですから、代わりにベンケイが背面のミラーを通じてプロキシマの冠からエネルギーを受け取り、ハイパージャンプをすることになります。無事にカークウッドに変える目途がついたので、ゆぴたんは「僕はまた、寝ます」と言って倒れこみ、桜さんの頭の上まで移動して被さります。今回あんまり桜さん喋ってないけど、「ゆぴたん、おねむねむにゃ〜」のところが可愛かった。


さて、次は学園島の様子です。もはや誰もいなくなった教室で、箱に入った教師だけが黙々と授業を続けています。フリオさんとネネコさんは外に脱出する方法を模索していて、10話でハコちゃんが処分されかけたダストチェンバーから外に出られそうだということに気がつきます。ネネコさんが雪の中から顔を出して、フリオさんたちは脱出成功。外を歩いていると、同じスール学園の制服を着た生徒たちが走っている様子が見えて、ネネコさんは声をかけようとしますが、フリオさんが「待って、何か来る」とネネコさんと一緒に物陰に隠れます。やってきたのは走って逃げるモデルのまどかさんと、それをゆっくりと追う「プリマ・ヴェーラ」を抱えたナミさん。イグジステンズたちが出現し、まどかさんと他の生徒たちは包囲されます。ナミさんがまた調子に乗ったセリフを言うと、まどかさんはケタケタと笑いだし、「だからあんたは薄っぺらなんだよ、昔っから」「所詮誰かの力を笠に着ているだけじゃん」「そんな虚仮威しのおもちゃ着るくらいなら、あたしは人間のまま死んでやるよ、あんたの同類にされる前にね!」とものすごい表情でセリフを紡ぎます。やばい、今回は完全にまどかさんに同意だ(笑)。ナミさんはブチ切れてまどかさんにQTの力をぶつけ、ものすごい表情でまどかさんの名前を叫び、プリマ・ヴェーラのしっぽの部分をまどかさんの腕に押しつけます。まどかさんが絶叫するところはもっと過剰なくらい演出をしてもいいのに。ナミさんやまどかさんがかなりいい表情だっただけに物足りないですね。まどかさんの断末魔がついえると、ナミさんはプリマ・ヴェーラをまどかさんから離し、するとまどかさんの腕にはネルヴァルの焼き印ができています。ナミさんはまどかさんの首をプリマ・ヴェーラで掴んで箱に向かってまどかさんを投げ入れます。復讐を達成したナミさんは笑いだそうとするけれども、吐き気が襲ってきて口元を押さえます。ナミさんはまどかさんを痛めつけることができたけれども、まどかさんの正論になにも反論できなくて、決して胸がスカッとしたわけではないんでしょう。
一連の様子を物陰から見ていたフリオさんたちはヤバいと思い逃げようとしますが、イグジステンズの一騎に先回りされてしまいます。それらの様子を監視カメラ越しに眺めていたブーミンも恐ろしくなって商業ステーションに逃げ帰りますが、こちらもばっちりと追跡されてしまうわけですね。
「仕事」を終えたナミさんはネルヴァルのいる首相官邸に戻ってきます。「どうでしたか、はじめてのお仕事は」とアレイダに問われて、「別に、普通」と顔を曇らせて言います。ネルヴァルからその部下たちにナミさんが紹介されると、部下たちはナミさんにイグジステンズを預けることにこぞって反対します。ナミさんはそれを受け、「私いまさっきも反乱分子ってやつをたくさん箱詰めにしてきたんだけど」と自分がさも凄いことをやったかのように言い、とりあえずネルヴァルに褒められます。クサンティッペから難民たちの集結場所を押さえた、と連絡が入って、ナミさんが率先してそこに向かいます。
さて、風音さんは司令に見送られて月を出立します。最後にデートに誘われて、「ええ、喜んで」と一応笑顔で応えていましたが、去り際にちろっと舌を出していて、「バカな男」とでも思っているんでしょうか(笑)。風音さんたちの会話を盗聴していた男は、中国語か何かで電話をしています。これはたぶんカークウッド以外の「ストラクチャー」・ウーレの人間だということでしょうね。前に鶏口牛後の話をつつじさんがしたときに、ウーレが中国に相当する場所だろうということが分かっていますし。
ニーナとエルさん・エミリオさんはブーミンの持ち帰った映像を見て、ナミさんが映っているのに驚きます。「避難民たちに告ぐ」とナミさんの声でアナウンスが入り、ニーナ達は外に出ます。ナミさんとイグジステンズたちが商業ステーションを包囲していて、「抵抗をやめて投降しなさい」とアナウンスしています。そこにレオパルドコロニーがジャンプしてきて、ナミさんは「黒い…神様」と1話の時と同じセリフを言います。12話以降秋葉さんたちとカークウッドで別々に話が進んできましたが、来週以降は再び一本に戻るんですね。


とりあえず、調子乗りすぎのナミさんに誰かが灸をすえてやらないと(笑)。まどかさんのことはナミさんには結構堪えているようですね。ナミさんが復讐を果たすシーンはやっぱり物足りなかったです。あと今回は説明台詞が多すぎて重かった。次週は秋葉さんがエルさんに発破をかけられてレオパルドを立ち直らせるそうです。次週も期待。