宇宙をかける少女 第15話 「魔女の騎行」


今週で地球編が終わって、秋葉さんたちは宇宙に帰ります。最初に桜さんがQTアームズを修理していて、下で紅茶を飲んでいるレオパルドに火花を浴びせています。秋葉さんたちはフォンに次にパイドパイパーが現れる場所を教えてもらいます。フォンはどうしてパイドパイパーの出現場所なんか予測できたんでしょうね。フォンは実際ブレインコロニーの開発者ですから、「神の手」的な要素として使ったわけですか。つつじさんは秋葉さんたちのボアシップを狙っていたんですけど、「どうか、奴隷としてお連れ下さい」と突然脈絡もないことを言い出します(笑)。つつじさん、Sから一転してMですか。
さて、今週からOPが変わったのでちょっと見てみましょう。前のOPの映像の使い回しが多かったのがちょっとがっかり。あんまり変わった感じが出ていませんでしたね。OPを見る限りナミさんがラスボスにしか見えないんですけど、ナミさんを一度叩き伏せた後に改心させて連れ戻して終わりみたいな凡庸な展開にはなってほしくないな。高嶺さんは相変わらずアレイダと戦っていて、高嶺さんがずっとネルヴァルについたまま…ってことはなさそうですかね。あと、ナミさんはクサンティッペのパートナーなんですね。
桜さんは最終的にベンケイの「兜」を使って修理を完了させます。ベンケイは13話で脱ぎ捨てた「鎧」だけじゃなくて、「兜」も着脱可能で、本体は虫のような形をしていたんですね。つつじさんは秋葉さんのことを「お姉さま」と呼びはじめます。秋葉さんが「お姉さまってなんだろ」と首をかしげると、いつきさんが「聞いたことがあります」と食いついてきて、てっきり百合アニメ系のネタに行くのかと思ったら、「古代マフィアの、血の盟約のことでは」と。いつきさんらしいというか、怪奇課らしい答えか(笑)。フォンが声を掛けてくるとつつじさんは不機嫌そうな顔になります。秋葉さんたちはフォンからQTローズのミニチュア版を渡されます。ほのかさんが抱えている箱は何かな。しつこくお姉さまと呼んでくるつつじさんに、秋葉さんはちょっと引いていますね。秋葉さんとしては「準備完了」なんですけど、やはりつつじさんを疑っている(ってことかな?)ほのかさんは、「まだやることが残っている」と言ってつつじさんとベンケイを船内の倉庫に閉じ込めます。秋葉さんはつつじさんに必死に謝ってますけど、ほのかさんは冷たく「口を聞くな」と秋葉さんに注意します。つつじさんは「まんまとこの船に乗り込むことに成功したわ」と強がって見るものの、どう見ても捕虜か何かにしか見えない扱いに、自分でも無理があると気づいてしまったのか、つつじさんは泣いてしまいます。「人間はプライドを投げうって泥をすすってでも生き延びなければならない時がある」とベンケイに説教しますが、それなら最初から船に乗せてくれと頼めば良かったのではとベンケイに訊かれると、「そんなの私のプライドが許さない」と(笑)。つつじさんは自己矛盾に陥ってしまいました。まあ、秋葉さんのことですから、ベンケイの言うとおり普通に頼めば普通に乗せてくれた気がする。けど、ほのかさんとかがやっぱりこうして倉庫に投げ込みそうな気がしますね。
いつきさんはフォンを宇宙に連れていこうと説得しますが、フォンは「地球でしかできないことがある」と言って断ります。これはまた後でフォンが出てくる伏線か。便利なキャラを作ってしまったものですね。ほのかさんはまた色違いの箱を抱えているけど、今度は何だろう。ほのかさんはさっきからフォンの名前を呼んで何かを言いかけています。ほのかさんなりに世話になったお礼を述べたかったんでしょうかね。


雪が降り出し、海が凍りついて、フォンの予測通りパイドパイパーが出現します。いつきさんが別れの挨拶をし、秋葉さんがお礼を言って、ボアシップが出航していきます。最後にほのかさんが「そらで待っている」とフォンに告げます。フォンは秋葉さんたちの去って行った方角を見て、「神楽よ、あいつらを守ってやってくれ…なんてな、そんなことボクが言うと思ったのか」とまるっきりレオパルドなセリフを言っていますね。フォンはやはり少しレオパルド寄りの性格をしていて、フォンはただのブレインコロニーの造物主じゃなくて、レオパルドというのはフォンの分身みたいなものなんでしょうね。CVに福山潤で被せてきたのは明確な意図があったわけですね。この段階で「神楽=アレイダ」と知っているのは秋葉さんだけで、しかも秋葉さんはそのことに確信を抱いていないので、他の誰にもそのことを相談していません。フォンは「おお、そうだ」と、何でもないことのように重要なことを思い出して秋葉さんたちに連絡を入れます。
秋葉さんたちはフォンからもらったミニチュアQTローズをつけます。ちょうど花飾りのようになっていて、いつきさんはウルに向かって「お茶目です」と言っています。そんな真面目な声で言わなくてもね(笑)。秋葉さんたちがQTのフィールドに突入すると、花が開いてQTを吸収します。前回も前々回も箱を被って連れて行かれそうになった秋葉さんも、今回は大丈夫。つつじさんとベンケイは相当暇なのかしりとりをしています。「マキャベリズム」に「むっつりスケベ」って(笑)。二人の性格を端的に表していますね。秋葉さんたちはこのままの勢いでパイドパイパーに突入しようとしますが、水を差すようにフォンから連絡が入って、入口は反対側、と告げられます。「やはり命を奪っておくべきだった」というほのかさんですが、まあフォンがいたからパイドパイパーに突入しようなんて考えられたんですから、それはちょっと言いすぎです(笑)。桜さんはクロオビに前回でアクセルを踏ませて、ほとんど閉まっている扉にボアシップを滑り込ませます。そのまま慣性で反対側の壁にぶつかりそうになりますが、なんとかブレーキが間に合って船の先が少しコツンと触れただけで済みました。急ブレーキに秋葉さんと桜さんは前方に投げ出されます。桜さんは楽しそうですけど秋葉さんはげんなりしていますね。ベンケイも前方に投げ出されてつつじさんに馬乗りになり、「むっつりスケベ」のベンケイは慌てふためきますが、つつじさんに「あんたみたいな鉄の塊に触られても、私はなーんとも思わないから」と言われて、「それは何よりだ」と。褒められてないって(笑)。


秋葉さんたちはパイドパイパーの中に潜入できましたが、そこでは赤い箱を被った人たちが今度は大きな「箱」の中に格納されてコンベアで搬送されている様子が見えます。パイドパイパーはテラ・アブダクションを終えて、宇宙空間へと長大なロープで引き上げられていきます。
ニーナのもとで、今度はピザハットのロゴが入ったグラブフィッシュに乗って、ブーゲンビリアとミンタオは哨戒任務に就いています。何かがゴツンとグラブフィッシュにぶつかる衝撃があって、ブーミンは驚きますが、すぐに宇宙ゴミだと判断してしまいます。しかし、その内部から血まみれの手が窓ガラスをこするのが見え、ブーミンは「で、出たあ〜!!」と叫びます。この黄色い物体は、前回エルさんが乗った、1話で秋葉さんが使った非常用カプセルです。ブーミンはエルさんを救出したことでニーナから褒められますが、本人たちは「もうイヤ、オカルトなんて」と、それは一応怪奇課としては禁句ですよ(笑)。
秋葉さんたちを乗せたボアシップは、ゴミになった大量の赤い箱と一緒に宇宙空間に排出されます。秋葉さんたちとしては予定外だったものの、宇宙に出られたのでとりあえず満足。今までいた地球を宇宙から眺めて、秋葉さんは「きれいな星だね、いつきちゃんの故郷って」と言います。いつきさんも故郷の地球に向かって敬礼して、「いつか必ず(帰ってきます)」と。そこに、クサンティッペがワープして、地球から連れ去った箱人間たちを回収しにやってきます。その傍にアレイダとナミさんを乗せたカプセルを、桜さんは「ナミナミいる」と目ざとく発見します。どんな視力ですか(笑)。光る点にしか見えないそれですが、秋葉さんが拡大して見てみるとやはりナミさんとアレイダで、秋葉さんは一人で様子を見に行ってしまいます。クサンティッペは「私の方にも少し分けてくれるのかしら」と言っていましたけど、つまりは箱人間を内部に住まわせるのは本能で、人間の食事みたいなものなんですね。ナミさんは大量の箱を奇異な目で見つめて、アレイダに説明されても、箱が人間だということも納得していないようです。


ナミさんは自分が従えることになる「イグジズテンズ」を紹介され、「プリマ・ヴェーラ」をアレイダから受け取ろうとして、秋葉さんが大声でナミさんの名前を呼び、ナミさんは振り返ります。どういうことなんでしょう、箱の中にほのかさんの「姉妹たち」がいるんですかね。秋葉さんはQTアームズの操縦席から、ナミさんに「こっちに来て」と呼びかけます。ナミさんは「なんであんたがここに居るのよ、それに何、その格好」と秋葉さんに訊きますが、秋葉さんはその質問に全く答えようとしないんですね。ナミさんはこうしてはぶられ続けてきたことが精神を病んだ一端なんですから、こうして単純な問いかけを無視するは逆効果で、秋葉さんの説得もむなしく、ナミさんは高笑いをして秋葉さんにプリマ・ヴェーラを向けてきます。QTアームズの操縦席に居る秋葉さんに、「上からナミナミ言わないでよ!」と言って黒い光の玉を出現させてぶつけます。「魔女の騎行」と副題にある「魔女」とは神楽とナミさんのことで、ナミさんの戦い方も魔法少女モノみたいな感じですか。ナミさんは魔法少女アニメよろしく、QTアームズのコスチュームに「変身」し、8人のイグジステンズ達も、馬の頭に「箱」をつけた格好で箱から出てきます。
ほのかさんといつきさんが援護に現れますが、ほのかさんはアレイダの格好をした神楽を見て絶望し、ほのかさんは神楽を敵と認められずに、いつきさんにそう告げられても「そんなことない」と言ってしまいます。秋葉さんはナミさんとイグジステンズ達の攻撃を受け、ナミさんが撃ってくる光弾をなんとか避けますが、イグジステンズ達に攻撃されて墜落します。ナミさんが秋葉さんの元に降りてきて、秋葉さんへの憎しみをぶつけます。ナミさんにある感情は秋葉さん(だけではありませんが)への憎しみだったわけです。「美人でも、強くも、天才でもない」秋葉さんに見下ろされるのが気に食わなかった。それをここで迫力のある演技で言わせたのは良かったですね。しかし秋葉さんはナミの振り下ろしたプリマ・ヴェーラを受け止めて、「あんた、いい加減にしなさいよ!」とナミさんを叱責します。秋葉さんの方もここにきてナミさんに対して抱いていた感情というのは、決して恐怖とかではなかったんでしょう。姉としての責任…なんてものが秋葉さんに存在するかどうかは分かりませんが、駄々をこねる妹を叱るだけの「無神経さ」をここでも発揮できた、ということでしょうね。いいシーンなんですけど、いたずらっ子の桜さんが邪魔をしてきます。
桜さんは何を思ったか、ボアシップについているドリルでクサンティッペのボディをひっかきまわします。「あそこにもボンボンいる?」とレオパルドに聞いていた桜さんですが、桜さんはブレインコロニーを見るといたずらしたくなるのかな(笑)。桜さんのいたずらにレオパルドは相当焦っています。クサンティッペは怒り、長い尻尾を振りまわしてボアシップを攻撃してきますが、桜さんに上手く避けられて、誤ってナミさんたちのいるパイドパイパー(が収納された先?)を切断させられてしまいます。ナミさんは素早く撤退して、秋葉さんはナミさんを呼びとめようとしますが、やむなく操縦席のふたを閉じて脱出します。
パイドパイパーを破損したものの、用の済んだアレイダとナミさんは帰還しようとしますが、クサンティッペが気にして言い訳を始めます。アレイダはそこではじめてレオパルドのボアシップを見つけて、ナミさんに「イグジズテンズの性能を試してみませんか?」と言い、ナミさんも言われるがままにイグジステンズを出撃させます。8体のイグジステンズがボアシップを取り囲んで、レオパルドに強力な思考干渉をしてきます。レオパルドのいる空間がゆがみ、(典型的な「魔女」のように)歪ませた顔の神楽が「大嫌い」と語りかけてきます。「呼び捨てとかやめてくれる、気持ち悪いから」って、なんか変なこと言ってますね。突っ込むところなのか?(笑)。レオパルドのつけていたQTローズは壊れて、レオパルドはノックアウトされます。これでレオパルドも洗脳されてしまったんでしょうか…。


ナミさんは基本的にアレイダに流されるままに行動していますけど、彼女が秋葉さんに対して抱いている憎しみとアレイダ達の目的は未だ結びついていませんね。これがナミさんが目的意識を持って行動するようになると危険ですね。あらすじを見ると遅々として話が進まないようですが、どうなるんでしょう。次週も期待します。


追記(4/15 22:23)
いまさらですが、花田十輝先生が構成アドバイザーって名前で復活していることに気付きました。また花田先生に脚本書いてほしいです。