宇宙をかける少女 第14話 「夜ひらく花」


今週から再びシリアスパートに。ほのかさんが飛びかかってフォンを裏切り者呼ばわりし、首を絞めたところでした。秋葉さんといつきさんが慌ててほのかさんを取り押さえます。フォンはほのかさんたちが戦う中で一人だけ逃げ出した「臆病者」と言うべきか。ほのかさんが「ほかのみんな」というのは他のイグジステンズのことかもしれないし、獅子堂評議会のことかもしれません。「他のみんな」はネルヴァルと命を賭して戦ったというのに、フォンは一人安全な場所からリモートアタッカーで「戦った」とのたまっている、それがほのかさんは許せなくて「あんなものがなんだ!」と言っていますね。レオパルドも奥から現れてきてフォンと面会します。フォンがレオパルドの「創造主」であるというのにレオパルドにはその記憶がない。レオパルドがなぜ過去の記憶を失っていくのか、というのも問題の一つです。


フォンは紅茶をレオパルドと同じように淹れて「この芳醇なアールグレイの香り」と全く同じセリフを言っていますね。レオパルドの紅茶好きは「親譲り」だったということですね。フォンはレオパルドの性格そのままでは全然ないけれども、節々にレオパルドと似た言動が見受けられます。「お前たちは何者だ」とフォンが尋ねると、いつきさんがICPの身分であることを馬鹿正直に言って、フォンを「ボクを捕まえに来たのか」と怯えさせています。いつきさんはICPを名乗ってどうするんでしょうね(笑)。この辺りも天然さが見られます。フォンもいつきさんの話を最後まで聞かずに先走っていますが、フォンはこういうせっかちな性格なのかな。フォンは次に秋葉さんに話を振ると、「宇宙をかける少女」とほのかさんから紹介を受け、フォンはそれだけで「獅子堂の娘か」と理解しています。秋葉さんが「宇宙に帰りたい」という質問に、フォンは「宇宙に帰る方法などない」と一刀両断し、秋葉さんは落胆します。フォンは「ボクは忙しいんだ」とレオパルドっぽいセリフを言い、いつきさんが引き留めても「話すことなど何もない」と切り捨てて去っていきます。
前回女王様気質で原住民たちを従えたつつじさんは、秋葉さんたちのボアシップを奪って宇宙に帰ろうとしています。桜さんの持ってきたボアシップもたぶん故障しているのかな。あれで帰れるなら秋葉さんたちはとっくに帰っているはずですからね。ネルヴァルが助けに来るのを待てばよいと言うベンケイに、つつじさんは自分たちはネルヴァルに見捨てられた、とずいぶん割り切った考えを返します。つつじさんが「寧ろ鶏口となるとも牛後となるなかれ」と言うと、つつじさんの謎かけみたいな口調にとうとう怒りだします。つつじさんはネルヴァルに見捨てられた負け惜しみでこのセリフを言ったのかな。「ウーレの古い格言」と言っていましたが、「ウーレ」とはカークウッドとかと同じコロニー群の一つですけど、中国に相当する場所だったんですね。つつじさんは「自分の道は自分で切り開く」と言って締めています。この人は結構逞しいですね。
カークウッドでは制圧された学校の様子が出てきて、生徒会メンバーとエミリオさんの無事が確認できます。学校はネルヴァルによって封鎖された状態らしく、食料などは用意されているとの話で、どうやら学校のメンバーは無事ですね。このような危機的な状態になってもネルヴァルのことを明かさないエミリオさんに、真宮寺さんはいらだっています。エルさんは脇腹に大きなけがをしているものの、何とか一命を取り留めたようですが、風音さんは未だに生存確認できず。エルさんが扉を開けて乗り込もうとしたのは、たぶん1話で秋葉さんが使った非常用カプセルですね。
ナミさんとアレイダは11話以降たびたびにしか登場しないので、いまいちナミさんの心境が読み取れませんね。「分からない、何をすればいいのか」というのはどういう意味でしょうか。「では、また部屋に戻りますか?」とアレイダがナミさんに問いかけて、ナミさんは強烈に拒んでいますが、ここはちょっと注意するところかもしれません。「部屋」というのは獅子堂家のナミさんの部屋でしょうが、「部屋」というのはすなわち「箱」の一つの形態であり、人間は「箱」に籠りたがる性質がある、というのが今回の後半でフォン博士も言っているとおり、そらかけのストーリーの一つの原則でした。ところがナミさんは、むしろそこから解放されたがっていた人間だったということですね。それが何を意味するかはまだ分かりませんけど、ナミさんが「宇宙をかける少女」に選ばれた理由の一つだったりするんでしょうか。それと、「この世界に傷つけられている人たちの悲鳴」とはサウンドとしては全く現れていませんでしたが、アレイダがナミさんに聞かせた幻聴ということでしょうか。
その次にはネルヴァルの声で見知らぬ人影が喋っています。そういえば9話でネルヴァルの声で人型がしゃべっていた時におかしいなと思ったんですけど、やはりあそこで登場したNLPBの理事長は本編でも登場するわけですね。


宇宙に帰る手段を完全に見失った秋葉さんたち。ウルは地球上空に連絡が取れないか試していたんでしょうかね。いつきさんはテラ・アブダクションの情報を得るために、フォンを縛り上げて尋問する強硬手段に出ます。桜さんはクロオビにレオパルドを磨かせていますね。イモちゃんは「まんまる焼きが恋しいですぅ」と故郷を恋しがっています。ほのかさんは何をしているのかな。あれは「生体兵器」だというほのかさんたちイグジステンズが製造された場所とかなんでしょうか。
Bパートに入って、難民たちの集まる「ブルーバードモール」にて、ニーナはいつきさんがいつも使っているボアシップがやってきたのを見つけます。しかし、中に居たのは不死身のブーゲンビリアとミンタオ(笑)。「なんだろう、このガッカリ感は」とニーナが言うのも分かるけど、「ガッカリ」とか言ってしまったらブーミンがあまりにもかわいそうです(笑)。ブーミンは「どうせ死ねばよかったんだあ〜」と泣き出してしまいます。ニーナはブーミンをピザハットに連れて言って話を聞きますが、ちょっと宣伝すぎるよね(笑)。ブーミンが「こんなにおいしい物ははじめて食べました」とか言って泣き出すところは露骨すぎてちょっと引いたので、ここのシーンはスルーします。ともかく、ICPが崩壊して行くあてもなくなったブーミンは、ニーナに誘われてニーナの言うことを何でも聞く係になりました。
いつきさんはフォンを尋問してそれなりの成果を挙げられました。ネルヴァルが人をさらう時に使う巨大構造物は「タイドパイター」と呼ばれる軌道エレベーター。ネルヴァルは(本能としての欲求から、とあらすじにありましたが)人を住まわせるために人をさらう。いつきさんが「多くの人が虐げられているのに」と言うと、フォンは閉鎖環境を求めるのは人間のごく自然な欲求で、人間とコロニーは互いに求めるものを持っていた、という風に反論します。いつきさんは予想外の反論に口をあけてポカーンとしていますが、警報のアラームなって我に帰ります。しかし、フォンはネルヴァルを悪と決め付けるのは一元的な見方だと考えているようなので、なぜフォンがネルヴァルと戦うのかが分かりませんね。
「タイドパイター」とイグジステンズが現れて、再びテラ・アブダクションが始まります。つつじさんは支配下に置いた原住民がそっちに誘導されていくのを見て、「敵前逃亡は(ry」と言いかけて、眼下に赤い点の広がる異様な光景を見て口を止めます。しかしよくそこで言い留まった(笑)。秋葉さんもまた赤い箱をかぶってゆらゆらとタイドパイターに引き寄せられていきます。するとフォンは携帯電話らしきものを操作して、前回秋葉さんたちを襲った「QTローズ」を呼び出し、テラ・アブダクションに干渉します。すると、イグジステンズは消え去り、タイドパイターも消え去って、赤い箱をかぶっていた人たちが次々と我に帰ります。秋葉さんは気を失って倒れ、いつきさんが駆けつけてきます。フォンいわく、テラ・アブダクションイグジステンズのQTによる思考干渉で、QTローズはそれに対抗できる唯一の手段、そしてイグジステンズとは、本来は対ネルヴァル用に開発されて、今はネルヴァルに取り込まれてしまった生体兵器。次々と重要なことが明かされましたね。ほのかさんが50年前から「年をとっていない」のも、生物兵器だからということでいいでしょう。そして秋葉さんは再び気を失って倒れ、アレイダの正体が判明して以降待ちに待っていた秋葉さんの夢の中のシーンがとうとうやってきます。


秋葉さんはネルヴァルに誘拐されそうになった体験を、「箱をかぶったらすごく安心できた。それが怖かった」と神楽に打ち明けています。秋葉さんは「ネルヴァルの仲間なんですよね?」と核心の質問をぶつけると、神楽は「私がネルヴァルの仲間?こんなに仲が悪いのに?」と秋葉さんの質問を冗談か何かと受け取って笑い、「でも、ネルヴァルが聞いたら喜ぶかもね、案外」と意味深なことを言っています。この時点で大体分かりますね。秋葉さんが夢の中で会っていた神楽は、実は「昔の」神楽だったのです。そして神楽は秋葉さんに、自分はネルヴァルと戦うためにここにいる、コロニーに住む600万人の人の命がかかっている、と諭します。店の扉が開き、いつにない笑顔のほのかさんが神楽を呼びに来て、同じ店に居た若い「元老院」の3人を連れて神楽は店を出ます。神楽は秋葉さんに、もし自分がネルヴァルを倒せなかった時のために、と書き置きを残し、ネルヴァルと戦うかどうかは、自分で考え、自分で決めなさいと言い残していきます。秋葉さんは「どうして私なの!」と最後に大声で問いかけますが、「あなたが宇宙をかける少女だから」と謎かけのようなセリフが返ってきます。「宇宙をかける少女」というのはどうやら、単なる人工知能のパートナーではなくて、その人の持つ何らかの属性を含めての言葉のようです。まだまだこの言葉の意味は解明しきれないか。
そして秋葉さんは夢の中で、はじめて店の外に出ます。店の看板に書いてあるのは「軌道喫茶えにぐま」。散々言われてきた「エニグマ」というのはこの店の名前だったんですね。そして神楽の残した書き置きを現実の世界で見るために、秋葉さんたちは「えにぐま」を探すことになるんでしょうね。秋葉さんがコロニーの外側に広がる宇宙空間を見てみると、そこには「7つの太陽」(そしてその周りの光彩は七色の虹ですね)があり、神楽が「スターシルフ」に乗っている様子が見え、またほのかさんの乗っている「ウィガール」も飛んで行って、「本物の戦争」が繰り広げられます。秋葉さんの周囲がブラックアウトして、手招きするイグジステンズが秋葉さんを取り囲みます。そして、ほのかさんが秋葉さんの手を掴んで名前を呼び、秋葉さんは目を覚まします。
夢の中ということも相まって多分に示唆的な内容でした。「7つの太陽」なるものもキーワードの一つなのかな。元老院の3人の若い姿とかも見られて、この夢の中のシーンはかなり良かった。軽く感動しました。今回使われた音楽はいつも夢の中で流れる音楽とは微妙に違いますね。秋葉さんが店の外に出てから曲が明るくなるように作られていて、音楽も相まって良かったです。この曲はサントラのvol.2のほうに入るんでしょうか。そういえば、秋葉さんの夢の中の服装が普段と全然違うことに今さらながら気づきました。
さて、次に問題になるのは、神楽はいかにしてネルヴァルに加担するようになったかということと、秋葉さんの見ている夢はどういう原理なのかということですね。神楽は高嶺さんのように単に洗脳されただけなのか、あるいは何かしらの意図があってネルヴァルの味方の「フリ」をしているのか、あるいはネルヴァルの方が「正義」だと考えて加担しているのか、どれなんでしょうか。秋葉さんの見ている夢は、直前に出てきた「QTによる思考干渉」というのがまず考えられますが、そうすると「誰が」秋葉さんに干渉してきているのかが問題になりますね。


さて、秋葉さんはほのかさんに名前を呼ばれて目を覚ましました。秋葉さんはベッドに寝かされていて、いつきさんやイモちゃんがずいぶん心配していたようです。ほのかさんに「神楽に会ったんだな」と秋葉さんに言い、秋葉さんは神妙な面持ちで頷いています。
秋葉さんはほのかさんとフォンから、神楽に関する説明を受けます。神楽はネルヴァルと戦い、結局帰ってこなかった。レオパルドはその時に武装解除されて、秋葉さんたちがせっせと集めたパーツはその時解体されたものだった。ブレインコロニーと獅子堂神楽に関する情報は「大人たち」の決定で歴史の闇に葬られた。ここがちょっとすっきりしませんね。「大人たち」とはいったい何なんでしょう。秋葉さんが「宇宙をかける少女って…」と核心の質問をしようとすると、警報アラームが鳴ってそれを邪魔します。
今度はつつじさんが島に上陸してきます。「無事だったんですね、鏡泥棒さん」と秋葉さんがフレンドリーに話しかけます。フォンはボナパルトと再会できたことにも感慨深げですね。つつじさんはベンケイに秋葉さんたちの船を奪うように指示を飛ばし、桜さんがクロオビを応戦させます。するとクロオビはいつも通り「トモダチニナリマショウ」から始めて、ベンケイは素直に握手をしてきてクロオビは妨害に失敗します。つつじさんは完全に呆れて彼らを無視し、「この船を渡しなさい」と言ってきますが、いつきさんに「どうして軌道エレベーターで帰らなかったんですか?」と言われてはじめて、さっきのタイドパイターに乗っていれば帰れたということに気付きます。するとフォンが「その手があったか」と。秋葉さんたちにタイドパイターに乗って宇宙に帰れと言いたいんでしょうかね。
最後にカークウッドから出たナミさんとアレイダが出てきます。ナミさんが「どこへ行くの?」と尋ねてもアレイダは「あなたに力を授けます」と答えになっていないような答えを返します。ナミさんはもしかして、何を尋ねてもはぐらかされるアレイダに辟易しているんでしょうかね。ナミさんは諦めたように「ひとつ教えて。どうして私だったの?」と、秋葉さんが夢の中でした質問と全く同じ質問をして、アレイダは「あなたが宇宙をかける少女だから」と全く同じ答えを返します。


ずいぶん様々なことが明らかになった割に、説明が重くなりすぎることはなく、よくできた挿話だったと思います。次回の第15話からOPが変わる模様です。楽しみですね〜。公式のPreviewが底をついてますけど、今月の10日売りアニメ誌に合わせて更新されるんじゃないかと思います。


・「夏のあらし!」「咲-Saki-」「タユタマ」を見ました。あとで「ティアーズ・トゥ・ティアラ」と「シャングリ・ラ」を見てからまとめて簡単な感想を書きます。

少女病の「Festa!」を買ったら、「未完成さぷりめんと」にハマってしまいました。