Phantom -Requiem for the Phantom- 第1話 「覚醒」


春のアニメが開始しましたね。昨日見たアニメは「クイーンズブレイド」「アスラクライン」「Pandora Hearts」「けいおん!」「Phantom」の5つです。「けいおん!」と「Phantom」が面白かったんですけど、今日はPhantomの方を取り上げようと思います。けいおんは週末に取り上げるかもしれません。ほかの3つはしばらく視聴は続けますが、たぶんそのうち切ると思います。


原作はニトロプラスの有名なゲームです…が未プレイです。


アバンではまず犯罪組織「インフェルノ」と世界観の紹介を兼ねて、メンバーが暗殺の密談を交わし、アインとツヴァイを暗殺に向かわせる様子が描かれています。冒頭でグラスを片手に寝そべっている男がレイモンド、金髪の女性がクロウディア、場面が沿岸に変わってから出てくる水着の女性はリズィで、メンバーが「彼ら」と呼んでいる二人がアインとツヴァイですね。「インフェルノ」メンバーの密談は画面が全体的に暗くなっていますが、アンダーグラウンドな雰囲気を出す意味のほかに、彼らを目立たせなくすることで主役のアインとツヴァイを強調する意味もあるでしょう。ツヴァイは車でターゲットの屋敷に乗りつけ、門番に立ち去るようにジェスチャーされますが、何のためらいもなく懐から銃を取り出して撃ち殺します。ツヴァイが屋敷の中に乗り込むと、そこには先行していたアインによって既に死体の山ができていました。アインは侵入してきたツヴァイに脊髄反射で銃を向け、アインも反射的に銃を向けますが、互いを味方と認識したということがアインのゆっくりとした瞬きで実感できます。アインの左手から流れる血を見て「怪我を」とツヴァイが問い、「かすっただけ」とアインが返します。敵の残党が二階からマシンガンを乱射してきて、ツヴァイは飛んでよけ、掛けていたサングラスを打ち抜かれます。銃弾の雨が一時的に止んだ静寂の中で、アインが頷き、ツヴァイが頷きを返し、アインがもう一度頷いて、ツヴァイは物陰から飛び出て敵を撃ちます。ハードボイルドな世界観の中で、高垣彩陽さんの「かすっただけ」という声が非常に印象的でした。OPを歌っているKOKIAさんは普通のJ-POPの人だったと思いますけど、「GUNSLINGER GIRL -IL TEATRINO-」のOPを歌っています。


第一話では過去にさかのぼって、まずアインとツヴァイの出会いが描かれます。主人公のツヴァイの見ている、夢のような、実際の体験のような漠然とした映像が映し出されています。ツヴァイはアメリカに旅行に来ていた日本人で、偶然アインと「インフェルノ」の犯行現場を目撃し、記憶を消されてしまったのです。ツヴァイは自分の名前も思い出せず、思いだせるのは自分が日本人旅行者であるということと、少女に銃を突き付けられている漠然とした映像だけ。部屋の隅に立てかけてあった鉄パイプが倒れる音を聞きつけて、ツヴァイはとっさに身構えます。この鉄パイプは、後に出てくる「インフェルノ」の研究者「サイス=マスター」が、「状況判断率」とか「覚醒値」とかいう値を測定するために倒したのでしょう。サイスは本来なら存在を消すはずのツヴァイに暗殺者としての適性を見出して、ツヴァイの能力をテストしているのです。
ツヴァイは部屋にあった木の棒でドアノブを壊し、外の廊下を歩きだします。ツヴァイは突然足を止め、足元をネズミが通過していきます。「察知能力」…サイスたちはツヴァイに求められる能力を次々と見出していきますが、そのレベルはサイスの求めるものには達していない。サイスはツヴァイに秘められた力を引き出すために、「ファントム」…アインに彼への攻撃を仕掛けさせます。
ツヴァイは銃の安全装置をはずす音を聞いて後ろを振り返ります。背後に居たのは仮面をつけた「ファントム」。仮面をつけていましたがツヴァイはその「眼」に見覚えがあり、自分を襲った少女だと悟ります。サイスは本来消すべきはずの「ファントム」の記憶を、恐怖の体験として断片的に残したんですね。「死にたくなかったら本気でかかってきなさい」といってアインは銃を撃ち、ツヴァイは必死にそれを避けて逃げ出します。
ツヴァイはアインを撒きますが、追いつかれて銃を突き付けられます。ここまで「生存本能」だけで逃げ続けてきたツヴァイは「逃げられない」と直観し、「逃げられないなら、殺さなきゃ」と思考の転換をしています。抵抗する意思を見せたツヴァイに対し、アインは銃を投げ捨て二丁のナイフを取り出し、片方をツヴァイに投げ渡します。ツヴァイがわざわざナイフを寄越した意図を問うと、「本気でかかってきなさい、死にたくなかったら」とアインは先ほどのセリフを繰り返します。「それでもボクは、死にたくない」と言って、ツヴァイはここで「覚醒」します。ツヴァイはアインに向かってナイフを振りおろしますが、アインに腕を掴まれ、膝蹴りと掌底で突き飛ばされて鉄柱に頭をぶつけます。しかしツヴァイは平然と立ち上がり、今度はアインが降りおろしてきたナイフを掴んで、アインの上に馬乗りになり、ナイフを奪い取って突き刺そうとします。その拍子にアインの付けていた仮面が切れて、アインの顔の半分が顕わになると、ツヴァイに過去の記憶がよみがえってきます。この過去の記憶というのも漠然とした映像ですが、学校の制服らしきものを着たツヴァイは、このときアインと会っていて、それを顔を見た拍子に思い出して一瞬手を止めた、ということですか。「人を殺してまで得られる自由ってなに?」とアインはツヴァイに問いかけていますが、過去はこう言っていたアインが今では平然と人を殺す人間になっている、ということに注意ですね。ツヴァイがそれでもナイフを振りおろそうとすると、アインのもう半分の仮面も取れて、ツヴァイは完全に手を止めてアインの上からどき、ツヴァイは大きな扉を開けて建物の外に出ます。そこにはどこまでも続く砂漠が広がっていて、ツヴァイには完全に見覚えのない景色。加えて自分の正体も分からない絶望がここでのツヴァイの絶叫に表れていますね。その絶叫に「わたしはアイン、あなたはツヴァイ」とアインが応え、麻酔銃でアインを撃ちます。意識が朦朧としてきたツヴァイの元に、先ほどからツヴァイの挙動を観察していたクロウディアとサイスが現れます。サイスはクロウディアの部下ということでしたが、クロウディアの去り際に「はたしていつまで、そうやって私に指図していられるものかな、お嬢さん」とひとりごちていますね。今回アインとツヴァイの戦いを主に描きながらも、「インフェルノ」のメンバーもそれを観察する側として紹介を済ませていました。
「私たちは、どこにも存在できない亡霊。誰でもない、ファントム」…「アイン」「ツヴァイ」のように番号で呼ばれている理由と、「ファントム」の意味が最後に明かされていました。「ファントム」はインフェルノのトップスナイパーに贈られる称号、とこのあとでサイスが言っています。亡霊のように姿かたちの見えない暗殺者、ということですね。


ここまでが回想で、時間は現在に戻り、冷酷にミッションをこなすツヴァイとアインの姿が再び映されます。アインがメイド姿で屋上のヘリポートでターゲットを出迎え、両脇にいるSPをツヴァイが撃ち殺します。ターゲットはアインとツヴァイの隙を窺っていたんでしょうが、それを全く見つけることができずに、「ファントム」と名乗ったアインによって撃ち殺されます。その流れ玉がヘリのオイルタンクに穴をあけ、サイスのモノローグが終わった後に大爆発を起こします。
最後に再びインフェルノのメンバーによる密談の場面に戻り、今度はレイモンドがカーテンを大きくあけてメンバー全員の顔がはっきりと映されます。他に登場する予定のキャラクターがダイジェストで顔見せをして、第一話はおしまいです。


一話としては非常にオーソドックスな一話だったと思います。ツヴァイの本来の性質は、アインに撃たれて逃げ回っているような姿だったのでしょうが、回想の前後で見るツヴァイの姿は冷酷そのもので、そのギャップに興味を惹かれる構成になっていますね。高垣彩陽さんが非常に良かった。軽く「棒読み」でアインに機械的な性質を持たせながらも少女としての性質を残していて良かったです。個人的な感想ですけど、今回の話の中で唯一の救いは高垣さんの「萌え声」だったんじゃないかなあと。まあ、true tearsの乃絵そのままといえばそうかもしれませんが。
次回以降感想を書くかどうかは未定。次回も面白かったら感想を書きますが、気が変わって「けいおん!」の感想を書くかもしれません。