宇宙をかける少女 第13話 「棄てられた大地」


前回秋葉さんたちが燃え尽きるレオパルドコロニーとともにどうなったのかは描かれていませんでしたが、あのまま地球に不時着してきた、と公式のあらすじにあります。秋葉さんはほのかさん・いつきさんと離れ離れになってしまい、QTアームズも故障してイモちゃんでも修理できないようです。秋葉さんは割とのんきに、カークウッドの人工の空と地球の空を比べて、地球に来たことを実感しています。レオパルドもコロニーからパラシュートになる帽子を使って脱出した後に地球に不時着したようで、木の枝に引っかかっています。レオパルドにカラスがたくさんとまっていて、レオパルドが叫ぶと鳥たちが逃げ出していきます。レオパルドの重量に耐えきれずに木の枝が折れて、秋葉さんたちのところに転がってきて地面に突き刺さります。その衝撃で秋葉さんたちが座っていた岩の先が折れて、秋葉さんとレオパルドは海に落下していきます。
おそらくQTアームズについている何かの機能で、秋葉さんは巨大な浮き輪に掬いあげられて助かります。その様子を先住民らしき人たちが目を光らせて観察していますね。この回はこの時代の「地球」の位置づけを説明するのが一つの目的ですけど、ビル群が海に沈み、石器時代のような格好をした人たちが暮らして、地球の文明はかなり後退しているんですね。「このバカパルドー!」ってもう4回目くらいですか。ちょっと乱用しすぎ。「歴史にとってたらればという質問は意味を持たない」とレオパルドがいつものようによくある名言で誤魔化すと、「沈め!世のため人のために!」と秋葉さん。暴言が日々グレードアップしている(笑)


いつきさんとほのかさんは一緒になっていたようで、いつきさんが怪奇課の標準装備だとかいう魔除け用の火打ち石で懸命に火をおこすのを、ほのかさんがポカーンと口をあけて見守っています。なかなか火がつかないのを見かねてほのかさんがQTで火をつけます。「QTの力は日常生活に使ってはいけない」と、おそらく小さいころから刷り込まれてきた規範をいつきさんは口にします。ですが、「なして?便利は悪い?」と純粋に尋ねるほのかさんにいつきさんはうまく答えられません。いつきさんは、その(おそらくQTの無い者が有る者を妬んで作った類の規範だと思いますが)規範に今まで何の疑問も持たなかったのでしょうが、まったく違う枠組みの中で生きてきたであろうほのかさんの純粋な疑問に答えることができない、というところですね。そこに秋葉さんとレオパルドが、もはや小学生レベルの罵詈雑言を吐きながら滝を落下してきて、ほのかさんがつけた火を水しぶきで消してしまいます。
ベンケイとつつじさんも地球に不時着していたようです。つつじさんは、影の薄いキャラという運命に逆らって存在感を主張した罰として地球に墜落してきたけど、こうして私は生きている、運命でさえ私は殺せない、神よ、私を殺せるものなら殺してみろ!と無茶苦茶な電波発言をします。この人もう完全にギャグだ(笑)。その直後にカラスが「カー」と鳴きますけど、そういったのどかな世界でこんな電波な発言をしているからつつじさんはギャグなので、「カー」が無いとつつじさんの発言もそういうものかと思って飲み込んでしまいそうですから、この「カー」はアニメ文法的に不可欠ですね。ベンケイはまったくついていけずに「哲学というわけかな?」と前回と全く同じセリフを言っています。
秋葉さん・いつきさん・ほのかさんの3人はQTアームズ付属の浮き輪に乗ってカークウッド領事館に向かいます。公式のあらすじを見ないと分かりませんが、3人は壊れたQTアームズを修理するために領事館に向かっているんだそうです。秋葉さんたちはいつきさんの持参した水着を着ています。これも怪奇課の標準装備だといういつきさんですが、「そのかばんの方が怪奇です」とイモちゃんの言うとおり、四次元ポケットのような鞄にいったいどれだけの「標準装備」が詰め込まれているんでしょうね(笑)。「イミグレーター」の存在を知らず、管理局があるとも思っていなかった秋葉さんは、確かに「地球に全く興味がない」となるんでしょう。「宇宙に暮らす人たちは、もう誰も地球に興味がない」、といつきさんが言っています。こういう描写も一話でちょっと出てきましたね。レオパルドが木星がどうとか言っていますけど、このあとの話で秋葉さんたちは木星に行くことになるとか、何かのアニメ誌に書いてあったあらすじで読んだ気がします。気のせいかもしれませんけど。


一方カークウッドではネルヴァル側による洗脳活動が行われています。無人の車が選挙カーのように走ってネルヴァルの宣伝をしています。ナミさんが「この世界に生きているのはあなたと私だけ」と言っているので、あのときカークウッド内に居た人たちはあらかた全滅ですか。風音さんはともかく、フリオさんとかネネコさんとかエミリオさんとかは生存が期待できないかも。このあと我々は果たして誰が生き残っているかを逐一確認して安心しながら見ていくことになりますね。ナミさんは自分がこの世界を主導していく存在だと言われて喜んでいますね。
ほのかさんといつきさんは地球の原住民の視線に気がつき、警戒を強めます。秋葉さんはずっと見られていても全く気付かず、レオパルドに「鋼の無神経」と言われてしまいます。ついに秋葉さんの無神経さは周囲の公認になったのか(笑)秋葉さんは今度はレオパルドを角ダルマと呼んでいます。
秋葉さんたちはカークウッド領事館に到着します。ドーム状の建物全体が領事館だったといつきさんが言っていますが、すっかり荒れ果てていて、秋葉さんが「熱帯植物園みたい」と表現しています。しかしここはいつきさんの生まれ育った場所でもあり、10年ちょっと前までは立派な領事館がここにあったはずです。「テラ・アブダクション」で人間が大量に消えたことで、たった10年で地球の文明がここまで後退したのでしょう。原住民が捕獲したレオパルドを持参して秋葉さんたちに襲い掛かってきて、いつきさんも「街も、人も、12年前とはすっかり変わってしまいました」と言っています。


カークウッドでは「第48商業ステーション・ブルーバードモール」に生存者が集められています。エリカとリリー、そしてニーナの生存が確認できますね。ブーミンの姿は無し。死んだか…
秋葉さんたちは原住民に捕えられ、秋葉さんといつきさんは手足を縛られ、ほのかさんは火刑にくべられようとしています。ここの「なして?」は絶対おかしい。この回だけで「なして?」も3回目で、ちょっと森田さんは口癖を乱発しすぎでは?ほのかさんは「悪魔の手先」、テラ・アブダクションの関係者と同族なので火刑にされようとしているのですね。そこに雪が降ってきます。雪はネルヴァルの象徴、原住民たちに言わせると「悪魔の兆し」です。そしてクサンティッペの姿に似た巨大な構造物が立ち上がってきて、テラ・アブダクションが始まります。ほのかさんと同族の「イグジステンズ」たちが手招きをすると、原住民たちは目の光を失って、赤い箱をイグジステンズから受け取ってかぶり、巨大構造物に向かって歩いていきます。秋葉さんもその影響を受けて、原住民たちと一緒についていこうとします。ほのかさんがQTでイグジステンズたちを消し去ると、原住民たちは我にかえり、恐れをなして逃げ始めます。秋葉さんもほのかさんに頬を張られると意識を取り戻します。「心に迷いがあるからネルヴァルに付け込まれる」とほのかさんが言っていますが、秋葉さんの中にある「迷い」というのは一体なんでしょうか。


桜さんがいつも使っているボアシップをつれて現れ、どこからともなく出現した戦闘機が巨大構造物と戦います。戦闘機は構造物を撃退しますが、そのうち一機が攻撃を受けて撃墜されてしまいます。秋葉さんたちはボアシップ内のモニターで戦闘の様子を観察していて、撃墜された戦闘機のパイロットを「助けなきゃ!」と秋葉さんが言って、クロオビが船を動かします。レオパルドは船に積まれたんでしょうね。結局秋葉さんの新しいあだ名は思いつかなかったらしくて、「濡れ落葉」とAパートで使っていたあだ名をもう一度言っています。
戦闘機の墜落した場所を見に行くと、誰も戦闘機を操縦していた様子がなくて、誰かが自動で飛ばしていたということが分かります。しかも、その旧式の戦闘機に改造が施されていたことから、この後退した文明の中で高い技術を有する人がいる、と分かり、秋葉さんたちは戦闘機の飛んできた場所に向かって、宇宙に帰る手段を探しに行きます。ほのかさんは左手が思うように動かなくなってきているようで、手に持ったバッテリーを落としてしまい、左手をじっと眺めています。
つつじさんも原住民たちに取り囲まれますが、原住民たちはベンケイの姿を見ると逃げ出します。そこでつつじさんが突然服を脱いでヒョウ柄の水着を露わにして、「ひざまずきなさい野蛮人ども。私がお前たちを導いてあげます」と言いだします(笑)。これもネルヴァルの計画のうちなんですかね。それともつつじさんの趣味でしょうか。
秋葉さんたちのボアシップは、途中でツタのようなものに絡み取られて身動きが取れなくなります。それは秋葉さんたちを待ち構えていたコロニー開発者のフォンが開発した「QTローズ」という生き物。ほのかさんは「フリードリヒ・オットー・ノーブルマイン」(頭文字をとってFONですね)とフォンのフルネームを呼び、いきなりフォンに飛びかかって首を絞めます。


今回は半分くらいアンソロジーのような雰囲気でした。樋口さんの脚本よりは数段分かりやすく、また結構雰囲気が違ったような気がしました。ちょっと「バカパルド」とか「なして?」とか言わせすぎでしたけど、面白かったです。秋葉さんの「迷い」とほのかさんの左手が、今回張られた重要な伏線ですね。次週も引き続き地球での話です。次週も期待します。


・そらかけのサントラが結構気に入りました。へえ〜、これがプログレロックですか。我々のイメージするロックとはずいぶん違いますね。そらかけの場合は音楽だけ聴くとだいぶ印象が違って、あのアニメとマッチしているのが不思議なくらいです。サントラ単体で良かった。カークウッドの曲とかが好き。
キャラ☆メルに連載されているそらかけのノベルは面白いですね。季刊誌ですけど一応アニメをやっている間にもう1回分読めるんですね。次はほのかさんをピックアップするんですよね。楽しみです。
・今年のTAFは行けなかったので、そららじでその話題が出てくると悲しくなります。