宇宙をかける少女 第7話 「神々の闘い」

前回は「再会を喜ぼうではないか、レオパルド」と言いながら、ネルヴァルがゴゴゴゴ…と登場したところで終わったのでした。アレイダ達の仲間だったはずの赤い箱人間「ネルヴァリスト」たちも、恐れをなして逃げ惑っていますが、施設の建物が倒壊しそうだからということですかね。秋葉・いつき・ほのかの3人は呆然とネルヴァルを見上げているに対して、アレイダと桜さんは俊敏に行動を起こします。そこからちょっと遅れて、いつきさんが左手の甲にある機械をいじって何かを呼びます。ちょっと分かりにくいですけど、高嶺さんがアレイダに連れ去られたあと、秋葉たちの左上に2台の宇宙船が現れてきます。向かって左側がいつきさんが出した船で、右側のどくろが入った船は桜さんのものですね。
ほのかさんはネルヴァルについては「人類の敵」以外なにも明かそうとはしません。高嶺さんはアレイダに連れ去られますが、このアレイダが乗っているのもQTアームズの一種のよう。このあと高嶺さんが使うQTアームズも出てきますが、QTアームズというのは秋葉さんたちが操るようないわゆる「ロボット」のような形とは限らないようですね。また、ネルヴァルのボディ(と言えばいいのか?)は確かに3話で出てきたムカデメカにそっくり。あれもネルヴァル本体だったのか、似て非なる何かだったのかは分かりませんが、おそらく次回ほのかさんが説明してくれるんじゃないでしょうかね。
桜さんの宇宙船に乗った秋葉さんたちでしたが、「よく分かんないけど、お姉ちゃんを助けなきゃ!」と言ってQTアームズに乗って飛び出していき、ほのかさんといつきさんもそれに追従します。まあ秋葉さんの行動原理はずっとこんな調子でしたね。今回はそらかけにしては長めのアバンでした。


Aパートではまず前回月に派遣されてきたブーゲンビリアとミンタオが映ります。名誉挽回のチャンスとか言っていた割には結構任務をなめているようで、「たかが更生施設の暴動くらいで大げさな…」とセリフを吐きます。月が自由貿易特区でうんぬん…っていうくだりですが、説明する気のない専門用語をやたらに導入するのはあまり感心できませんね。そこにレオパルドとネルヴァルが月の周りを公転しながら現れてきて、ミンタオは唖然。しかしブーゲンビリアが目ざとく秋葉さんたちのQTアームズを発見します。
レオパルドは噛みついてるネルヴァルに自前のミサイルか何かで応戦するもまったく効果なく、逆にネルヴァルから「コロニー落とし」(笑)を食らってしまいます。いや、ついに言ってしまったというか何というか。ネルヴァルによってレオパルドの内部は氷漬けにされてしまいますが、「また氷漬けにされてしまう…」とレオパルドが言っていますね。過去にも同じように氷漬けにされて反物質砲が撃てずに敗れたことがあって、今回の最後に桜さんが持ってくる「ゴールデンオーブウォーマー」はその対策というところですか。
いつきさんたちはまだ様子を見ているところのようですが、間の悪くブーゲンビリアたちが追い付いて邪魔しにかかります。いつきさんは彼女たちから逃げようとしてネルヴァルの上空を飛んでいるところに、ネルヴァルから吹き出る煙を浴びてQTアームズが凍り始めます。いつきさんのQTアームズに掴まっていたブーゲンビリアたちの機体も凍り始めて、コントロールも効かなくなり、ネルヴァルの内部に墜落していきます。秋葉さんとほのかさんはそれを止めようと二人がかりでいつきさんの機体を支えますが、どうやらこの氷は触れただけで凍りつかせることができるようで、秋葉さんたちも巻き込まれてネルヴァルの中に墜落していきます。
一人どくろの宇宙船の中に残っていた桜さんは、ネルヴァルについて何やら分析しています。「ぴかぴかぷりゅ〜」とかにこんなにたくさんの意味が込められていたとは(笑)


風音さんは「獅子堂の長老たち」に会いに行った所だったのでした。「獅子堂は再び立ち上がり、人類の敵を討つ」とあるので、前にもレオパルドと協力してネルヴァルと戦ったことがあったと。そしてその時に「宇宙をかける少女」の役割をしたのが、おそらく中央にいる女性…「カグラ」さんと、彼女に付き添うナビ人、「モリヒメ」でしょうね。カグラさんとモリヒメがずっと目を閉じていることはちょっと注目かも。秋葉の夢の中にたびたび出てくる女性が前任者の「宇宙をかける少女」でしたから、カグラさんが目を閉じているのは、秋葉さんの夢の中とつながっているという暗示だと捉えていいんでしょうか。
いつきさんの巻き添えに氷漬けにされたブーゲンビリアたちはICP本部に出来事の報告をしますが、寒さによる眠気(?)に加えて複雑な状況あいまってまともな報告ができません。一方月を管理している司令部は混乱の極みにあってまともな報告ができません。この二組の状況は対極にありますが、ほぼ同じ内容の報告をしていますね。


ネルヴァル内部に不時着したいつきさんと秋葉さん、それにほのかさんのもとに、ネルヴァルの頭脳部が降臨してきます。ほのかさんは「ネルヴァル…」と、何度も口にした名詞でありますが、一段と低い声で呟きますね。「イグジステンズの生き残りだな。いまだ健在とは」。「イグジステンズ」とまた謎の名詞が出てきましたが、これも次回の説明待ちですかね。ほのかさんはネルヴァルを前にした怒りで我を見失いネルヴァルに襲い掛かりますが、アレイダによって簡単にあしらわれてしまいます。アレイダは今度は「タキオンソード」で秋葉さんたちに襲いかかろうとしますが、そこに颯爽と囚われていたはずの高嶺さんが現れて反撃します。「ネルヴァルを倒すことができるのは、レオパルドのソウルシャウツだけよ!」と、このセリフによってはじめて、秋葉さんにレオパルドと姉たちが関係していることが伝わって、今まで別々に進んでいた風音さん・高嶺さんの話と秋葉さんたちの話がようやく交わるんですね。(話数にするとたったの2話分ではありますが、「そらかけ」のテンポの中では珍しく焦らされた予定調和であっただけに「ようやく」と言ってもいいでしょう)。しかし「反物質砲」じゃなくて「ソウルシャウツ」が公式の呼び名だったのか(笑)ガッチリ囚われていたはずの高嶺さんがどうして脱出できたのか、いまいち釈然としませんが、とりあえずそれは置いておくことにしましょう。
高嶺さんはアレイダの剣を上手いこと自分の拘束具に当てて、手錠を外します。上下に分かれる手錠の狭間から見える高嶺さんのニヤリとした笑みが美しい。ここの高嶺さんが今回の挿話の中ではお気に入りです。高嶺さんは笛を吹いて和歌を詠み、自分の武器である二振りの刀とQTアームズを呼び出します。ネルヴァルと刀を交えるその上空を高嶺さんのQTアームズが飛んでいき、カメラがQTアームズを追うように切り替わって、その左上方から現れた秋葉さんたちへとシフトします。秋葉さんはほのかさんに無理やりレオパルド内部へと、ソウルシャウツの引き金を引くために導かれます。まあもともと秋葉さんたちは高嶺さんにソウルシャウツを発射させるように指示されていたんですけど、そらかけの展開が早い原因の一端はほのかさんの強引さにあるみたいですね(笑)
ほのかさん、いつきさんに続いて秋葉さんも画面の奥に消えていって、高嶺さんのところにカメラが戻ってきます。それとともに一周して戻ってきたQTアームズに高嶺さんが乗ってアレイダと本格的な戦いを始めます。最初にも書きましたけど、高嶺さんのQTアームズもこれまた独特な形をしていますね。


レオパルド内部に到着した秋葉さんですが、レオパルドは氷漬けにされて凍死寸前、とてもソウルシャウツなんてテンションではありません。もたもたしているうちに秋葉さんは例の触れると凍る霧に飲まれて氷漬けにされます。これも「眠り」の一種なのか、画面は前任「宇宙をかける少女」の登場する夢の中へと切り替わります。氷漬けにされた中ではより深い「眠り」の中にいるのか、秋葉さんは夢の中でも眠っていますね。夢の中の女の人に「ほら、来るわよ」と起こされますが、何が来るのか(ようするに出番が来るんですが)は桜さんの「アメージーング!」(笑)から先で分かりますね。桜さんはQTの能力で、高嶺さんなどに意思を伝えたのでしょう。それを受け取った高嶺さんが今度は風音さんに電話をかけます。高嶺さんは桜さんの言葉が解読できないようですが、風音さんは秋葉さんと同じで何を言っているのか分かるのですね。
風音さんたちは何を目指して行動しているのか漠然としていましたが、「獅子堂の長老たち」から指示されたのはつまり、秋葉さんとレオパルドを補佐してネルヴァルを倒せ、ということでした。風音さんは今回、秋葉さんとレオパルドの危機を救うために、「カークウッド日照管理局」のコンピュータを乗っ取ってレオパルドに太陽光を浴びせて氷を溶かします。「日の光、溶ける、溶けるううう…」というレオパルドの溶け方は、とても見たことがあるんですけど思い出せません(なんかこのあたりの教養がなくてすみません…)。秋葉さんも解凍され、ソウルシャウツが発射されて、ソウルシャウツがネルヴァルに直撃します。秋葉さんが引き金を引くシーンとかは使いまわす気だったんですね。ネルヴァルは塵に帰ったかと思いきや、新たな「喋るコロニー」クサンティッペが登場して、ぎりぎり生き残ったネルヴァルとアレイダを回収していきます。ソクラテスの奥さんか…何か由来がありそうだけどまだ分かりません。


一段落した月の司令部の元に、ようやく前回エル・スールさんから派遣されたエミリオさんが到着します。ここでエミリオさんが「Absolute Breakthrough Control」の名前を出したのは、月に向かう途中で風音さんたちから連絡を受けたからでしょうかね。
ブーゲンビリアたちは未だ月で動きが取れないまま。カークウッド地区では風音さんが太陽光の向きをいじったせいで停電が起きたと、未だ正体の明かされない生徒会が報告。
秋葉さんたちも無事に目的のパーツを桜さんから受取り、そして高嶺さん・風音さん・エル・スールさんが一同に会し、ネルヴァルについての説明が始まったところで次回に続きます。


今回の挿話ではネルヴァルの正体について、一貫して「人類の敵」としか明かされませんでしたね。今回はネルヴァルとの戦いを主に描いて、次週ネルヴァルについて詳しい説明を与える、という構成でしょうか。新しいキャラクターも次々に登場してなかなか混沌とした状況でしたので、次回はその整理も兼ねてかなりの部分を説明に費やすことになるでしょう。
前回を見て脚本に若干心配をしていたけれども、それは杞憂でしたね。いつも通りテンポよく進む「そらかけ」で素晴らしかったと思います。今回は高嶺さんとアレイダが戦ったところとかは特に良かったですね。次週も期待。