WHITE ALBUM 第6話 「悩みを忘れるいい方法。他人のトラブルに首を突っ込んでみるってのは、どう?」


今回のアバンもやはり「電話」が絡んで、前回の美咲さんからの電話の続きから。最初に映される冬弥くんがどこに向かって歩いているかは、アバンでは明示されません。美咲さんがあんな酷い扱いを受けてまで演劇部の脚本を書こうとするのは、「自分の本を世に出したい」から。ちょっとここの電話の内容は唐突な印象を受けますが、まあ尺の都合上ってことで。
デザインは手伝うけどイメージは美咲さんにしか書けない…っていう冬弥くんは最初何を言っているのか分かりませんでしたが、全体の話から推察するにここでいうデザインっていうのは実際の衣装作りの作業のことをいっているんでしょうか。「台本よりはマシなこと言えるかな」と言う冬弥くんのセリフは何を意味しているんでしょうね。冬弥くんがファッションのデザインについて専門的な知識を持っていたりするんでしょうか。
歩いていた冬弥くんの行先は結局由綺のところでしたが、弥生さんの車が止まっているのを見て引き返します。ティーカップを並べて微笑んでいる由綺のけなげな表情が痛々しい。冬弥くんは今回、自分の悩み(すなわち、由綺との距離をどのようにするか)を「解決したい」のではなくて「忘れたい」のですから、弥生さんの車がなかったにしろ、由綺に会いに行くことはなかったとも考えられますね。一方で美咲さんは冬弥くんに電話して元気を出し、一生懸命に衣装のイメージを絵に起こしています。


日付が変わって、冬弥くんと彰さんが大学で会うシーン。美咲さんと田丸の顛末をまとめると、田丸は美咲さんに振られた腹いせに美咲さんにいろいろ雑用を押し付けているというわけです。
冬弥くんと由綺が去年デートしたのはたったの一回。わざわざ3回も全く同じシーンを流すことによって、冬弥くんと由綺の思い出がその場面しかないということが強烈に印象付けられます。
「シンプルなんだ 美咲さんの悩みって」
自分の「悩み」と比べて美咲さんの「悩み」はシンプルであると冬弥くんは言っています。美咲さんの「悩み」がシンプルだというのは、美咲さんと田丸にははじめから「何もなく」、恋愛などの「複雑」な事情が(過去には関係していましたが、現在においては)ないので、「衣装と小道具を作れば、それで解決する」からであります。ここで冬弥くん「よし」と頷いた瞬間から、冬弥くんの「他人のトラブルに首を突っ込む」ことが開始されています。
推測にしかなりませんが、彰さんの美咲さんの話題に対する態度は、おそらく彰さんは、自分の美咲さんに対する気持ちが冬弥くんにばれていることは承知しており、さらに美咲さんの冬弥くんに対する気持ちも知っているため、自分と美咲さんをくっつけようとする鈍い冬弥くんにいらだちを感じているんじゃないでしょうかね。


場面が変わって、収録スタジオで歌う由綺の歌をバックにしながら、今回冬弥くんの「悩み」に直結する出来事がことごとくすれ違いになります。理奈さんから冬弥くんへの電話は繋がらず、その間由綺のマンションを訪れていた冬弥くんも由綺に会えません。
弥生さんはエコーズまで冬弥くんを追いかけていって、冬弥くんをアパートに送り、前回と同様に冬弥くんにキスをしますが、今回冬弥くんははっきりと拒絶します。もちろん心の声にもあるとおり、冬弥くんは由綺と逢うことを妨害する弥生さんのことを「邪魔」だと思っていますが、おそらく今回の挿話の中に「美咲さん」という弥生さんとは別のヒロインがいることで、冬弥くんは弥生さんを拒絶できるという捉え方もあるでしょう。


アパートにつくと、玄関の前に美咲さんが待っていて、冬弥くんの胸に倒れ掛かってきます。連日(たぶん徹夜で)作業をしていましたから、疲労が襲ってきたのでしょう。冬弥くんが隠れているうちに、美咲さんが前髪をささっと直すところとか、一挙手一投足に「冬弥くんが好き」というのが現れていて可愛い。そして美咲さんがコーヒーにミルクを入れている所までも覚えている冬弥くんも、結構美咲さんのことを気にかけていますね。コーヒーのミルクを買ってくる間に、美咲さんは冬弥くんのベッドで眠ってしまいます(たぶんこの段階では本当に眠っていたのでしょう)。冬弥くんが美咲さんのスケッチブックを見て、「すごい、すごいよ美咲さん」と言うところは、「WHITE ALBUM」の中では相当珍しい「独白」ですね(だいたいの独白は文字で書かれますから)。普通の視聴者としてはこの美咲さんの絵がはたして上手いのか下手なのか判別できないので、このような台詞が挿入されています。その絵にコメントを書き込んでいるところで、由綺から電話がかかってきます。
由綺との電話で、再び冬弥くんは嘘を重ねてしまいます。美咲さんが家に来ていることを隠し、親父の持病が…などと出まかせを言います。冬弥くんの親父さんは片手腕立て伏せをこなすほどマッチョで、いたって健康そうですね。弥生さんが由綺のもとに現れて、由綺は慌てて電話を切ります。また美咲さんは、どこから起きていたのか分かりませんが、陰鬱そうな表情で眼を開いています。美咲さんには冬弥くんのついた嘘もすべて分かっているでしょうから、恋人相手に嘘を重ねる冬弥くんに失望したのか、あるいは冬弥くんには由綺という恋人がいるということを改めて突き付けられて絶望しているのか、どっちかでしょうか。


誰も聞いていないのに突然電話の弁解をはじめる由綺。このあと由綺の歌は「ダメ、全部ダメ、全くダメ」と英二さんに酷評されます。由綺は冬弥くんと会えないことがストレスになっているんでしょうから、弥生さんが由綺と冬弥くんを引き離したのはどう見ても逆効果ですよね。
美咲さんのデザインは無事審査に合格したようです。あの田丸たちが真剣に審査しているとは思えませんがね。冬弥くんが彰も誘おうと言ったときに、「無理…なんじゃない?」に続く美咲さんの一連のセリフは、声色からたぶん嘘でしょうね。冬弥くんが由綺につく嘘と同様な嘘を、ここで美咲さんが冬弥くんについています。
材料を買いこんで二人で歩くシーンの冒頭は、昔理奈さんの手とか影とかをひたすら映した時の演出と似てますね。美咲さんの左手の荷物、冬弥くんの右手の荷物、そして向きが反転して二人の後ろ姿、とカメラが動きます。会話は画面から浮き上がってしまって、唯一通行人が冬弥くんにぶつかるところで、映像と音が一致しますね。そして美咲さんが冬弥くん(=カメラ)の前に飛び出してからのクルクルと動く美咲さんとカメラが、個人的には今回の演出のMVPかな。美咲さんは冬弥くんに田丸のイメージを重ねてしまったようで、これが今後どう作用するんでしょうね。
そしてマナさんがまたしてもちょっとだけ映りましたね。彼女の出番はいったいいつ来るのか。(観月マナの語感が水樹奈々に似ているとかそんなどうでもいいことは、観月だけであんみしか出てこない私には全く気付きませんでした)
美咲さんは知り合いか何かのデザイン同好会に衣装制作の協力を求めに行きますが、「虫がよすぎるんじゃない?」とずいぶんバッサリと切られます。「ヒーロー登場」…などと心の中で呟きながら美咲さんの名前を呼ぶ冬弥くんはいったい何なんでしょう(笑)


今週(と、たぶん来週も)は美咲さんがメインの回でしたね。なかなか悲惨な状況でもけなげに頑張る美咲さんがとっても可愛かったです。第6話ということで、1クールアニメならば折り返し地点なのですが、なんか1話のころからあまり話が進んでない気がします。美咲さんのエピソードは今ちょうどやっていますが、はるかさんの扱いはずっと小さいまま。マナさんにいたっては今のところ存在意義すら感じられない。理奈さんと浮気する話だと思っていたんですが、フラグを折りまくって本当にそうなるのかもはや疑問です。「WHITE ALBUM」はどこに向かっているんでしょうね。今まで独特ながらもいい雰囲気をつくってきているので、あまり薄っぺらな最終回にはしてほしくないな。来週も楽しみにしています。


・2/1〜2/7のアニメのまとめは、今週はお休みしました。「CLANNAD AFTER STORY」についてそろそろ書こうと思っていたんですが、この間始めた「真・恋姫†無双」に意外とハマってずーーーーっとそれをやっていました。プレイが終わったら少しは感想を書こうと思います。